チマキ

コーダ あいのうたのチマキのレビュー・感想・評価

コーダ あいのうた(2021年製作の映画)
5.0
はぁはちゃめちゃ泣いた。
今まで見た映画でぶっちぎりに泣いた。
乳児期からの中度難聴持ちです。

ニュアンスの違いはあれど刺さる場面が多すぎる。
大人数での会話についていけず置いてけぼりになってしまう、けど場の雰囲気も壊せないから愛想笑い。横でみんなが会話してても聞き取れてないから途中参加できない。
見た目では障碍があるとはわからないから聞こえていなかったことで怒られてしまったり、誤解を招いたり。耳が原因でバイト辞めざるを得なくなったり。この作品とは関係ないけど今はマスクで声が籠ってたり口の動きが見えなかったり。
あぁ、これこれと思いつつ自分自身もその苦汁を飲んで来た身で、しかも自分は母方が音楽家系で幼少期から音楽に慣れ親しみ自分自身も大好きで実際に演じてきた側でもあるのでどちらの気持ちも痛い程わかって、途中からずっと喉の奥がグッとなっていた。

個人的に聾唖者、聴覚障碍者って他の障碍者に比べて孤立しやすいと思っていて、ていうのも他の障碍者は見た目で分かりやすいと言う点で他の方からの援助や手助けを受けやすく、会話でのコミュニケーションも取れるという点で大きく違いがある。人間という生き物は社会で生きていく上で人との関わり合いは避けられないのでコミュニケーションが取れない、取りづらいというのはどうしても大きな壁になり、だからこそ手話という非音声言語を扱える健聴者のサポートが必要になってくる。それを物心つく前から担っていたルビーは大人の社会に関わりあっていくことは避けられず犠牲を自分に強いてしまって自分を押し込めてしまってて、それもひんって感じで。
でも家族一人一人がしっかりルビーのことを考えて不器用だけど向き合い寄り添う姿は愛されてるのが伝わって更にひん。

最近こういう聴覚障碍者に焦点を当てたりイチ登場人物としてストーリーに絡めたりする作品が増えてきている。都内近郊を出れば当たり前のように車椅子や身体障碍者、盲目の方を見かけて、周りが優しくサポートしてあげている場面を見かけるけど、聴覚障碍者の人もみんな見た目でわからないだけでとても多いです。デフリンピックの影響でパラリンピックに聴覚障碍者が出場できない等もあったり世間に浸透しづらいであろう聴覚障碍者に対する世間の認識が、こういう作品達で改まって暮らしやすい世の中になるといいな。

余談で、今までは周りが理解ある友人や教師、家族で大きな問題は感じてこなかったが社会に出ると、自分の職業的にも初対面の人が多く不便、負担、ストレスを感じる場面がかなり増えた。そのため補聴器の使用を考え今回奇しくもその試用期間に鑑賞することになった。作品とは関係ないけどせっかくだしその使用感も残しとくと、単純に音が聞こえるという素晴らしさ楽しさ、鳥の囀りや川のせせらぎ。キスの音やギターの弦を指が走る音。なんじゃそりゃって思うかもしれないけど自分には普段聞こえない音で、それが聞こえていることに感動した。世界がより美しく感じられて楽しいって思った。同時に刺激的でもあったけど。飼っていた愛鳥が生きている間に着けていられたらおしゃべりも聞こえてより愛おしかっただろうなぁなんて。会いてぇなぁお喋り聞きたいなぁ。みんな、愛するものの声が聞こえるって幸せなことなんだぜ。ラブなんだぜ。噛み締めような🤟
チマキ

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