アキラナウェイ

コーダ あいのうたのアキラナウェイのレビュー・感想・評価

コーダ あいのうた(2021年製作の映画)
4.5
フランス映画オリジナルの「エール!」は鑑賞済み。びっくりする程下ネタが盛り沢山だった印象が強い。

家族でたった1人の健聴者。
いつだって家族の"通訳"として在り続けなければいけない彼女は、いつしか歌う事を夢見るように。

高校生ルビー(エミリア・ジョーンズ)は耳の聴こえない両親、兄との4人暮らし。家業である漁業を手伝い、家族の通訳でいる事が彼女の当たり前の毎日だった。やがて彼女は合唱クラブに入り、顧問の先生からその歌の才能を見出される——。

下ネタ満載はこちらも変わらず!!
性に奔放なご両親のキャラ健在!!

聴覚障がいを持った役者を揃えたという事もあり、当然ながら彼らの手話でのコミュニケーションは至って自然。そして、キャラクターが皆面白くて愛おしい。

顧問の先生、V先生のキャラも強烈だし、発声法の練習として彼が教える、小型犬/中型犬/大型犬のブレスは、何だか変態的なんだけど!?彼氏役の男の子が普通過ぎて、キャラ埋没しとるがな。

家族と夢

どちらを選べばいいのか、その身を引き裂かれそうな程に葛藤するルビーの姿が印象的。

壇上で歌う、ルビーと合唱クラブの演目を観ていた両親と兄。ふと音声が無音になるひと時。周りの人達は拍手をし、壇上の彼らに賛辞を投げかけている様子。でも、自分達には何も聴こえない。

父、母、兄にはこんな風な世界が広がっていると気付かされる瞬間。

「サウンド・オブ・メタル ー聞こえるということー」でも用いられた演出だが、彼らの立場に立たせてくれる、映画のマジックにいつも驚かされる。

「俺の為に歌ってくれ」とルビーに頼む父。そして、オーディションで家族達の存在に気付き、手話を交えて歌うルビー。この2つのシーンでボロ泣き。嗚咽。

エミリア・ジョーンズが伸びやかな声で、語り掛けるように歌う「青春の光と影」が素敵。

「家族の為に犠牲になるな。」
「俺達は無力じゃない。」

普段は粗野な性格だけど、飾らない言葉で妹の背中をぐいぐい押してくれる兄のキャラクターが良い。

そして、ラストシーン。
オリジナルでもジャケットを飾っているが、家族4人で抱き合うシーンが堪らなく好き。

子供達に観せてあげたい程の感動作だけど、下ネタ過多なのが玉に瑕(きず)。