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コーダ あいのうたのFrengersのネタバレレビュー・内容・結末

コーダ あいのうた(2021年製作の映画)
3.2

このレビューはネタバレを含みます

大音量のトラップの低音を尻の振動だけで楽しむシーン以外では60~70年代の曲がひたすら使われることが象徴するように、2010年代的なイシュー、映像的語彙はほぼ皆無。無理矢理ポップミュージックで例えるなら、輝かしいポップ/ラップスターにたいする、ラナ・デル・レイやファーザージョンミスティ、レモンツィグス的な作品といえるかもしれない。
主人公が家族と夢に引き裂かれるなか、手話が象徴していた手が、繋がれ拍手にむすびつく瞬間が何よりも素晴らしい。流れる音楽と言及される名前は常々アウトサイダーの側面を持っていた人達ばかりで見事にシンクロする。
ピント送り以外の映像、演出に関しては良くわからなかった。一番最初の自転車の乗り降りをカットした時にうーんとなり、家族の団らんや合唱の練習、会話の場面はカットを何度もわり、魚の交渉や漁船の接近は長回しでとるのがよくわからなかった。水辺のデートと漁業の交互のシーンの意図もわからなかった。デートの場面の美しい情景と徐々に近づく二人をゆっくり見たかった。最初に彼を部屋に招いた所の揺れる画面はいったい…
壁にあったクークスのポスターとクリムゾンのディシプリンTも…
それにしても新鮮な体験だった。映画館でヒットする作品の大半がヒーロー系かアニメになってしまった今、この80年代的とも言える作風のドラマ作品を劇場でみることは貴重だ。ベン・アフレックがインタビューでいっていた様にこのようなアメリカ作品を映画館でみる機会はレアになりそう。
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