このレビューはネタバレを含みます
すっごく良かった…映画館であんなに泣いたのは久しぶり。
テーマはシンプル、流れもシンプル。
けれどその流れを繋ぐ要素ひとつひとつがすごく丁寧で、納得できる。
聴覚障害のある家族の中で、一人の健聴者である子どもがその家族のために働くことは、ヤングケアラーの問題として捉えることができるのだろうか。まだまだ認知度の低い問題で、私もこの映画を観るまで、「そうか、この家族の構成だとこういうことが起きるんだ」ということに気付けなかった。
健聴者である娘は家族にとって命綱。でも同時に異端で、分かり合えない存在。
ルビーの悲しさや諦め、でも同時に家族への愛がすごく伝わってきて、勿論最初はルビーに感情移入して観てたけど、物語が進むにつれて家族4人の気持ち全部が分かるんだよなぁ〜。その伝わらせ方が、一々の説明じゃなくて、言葉の端とかちょっとした視線、家族といない時の振る舞いに乗せてくる感じが大好きなんだよなぁ〜。
そんでこの映画格好いいのが、そこまで「歌」というものをキーアイテムとして素敵に演出して使っていたのに、そこで無音にする？？！っていうその迷いのなさ。多分あそこを無音にすることは迷わずに決められていた演出じゃないかなぁ。その意味が後々にすごく効いてきて…。
一番好きなのは、お父さんがルビーにもう一度歌ってくれと言って、喉の振動で彼女の歌を感じるシーン。…あーー、ただ言葉で描写することの無味乾燥さよ。是非観て欲しい映画。観た後洟啜りながら誰かと語り合いたい映画。
アカデミー、取ってほしいなぁ。
