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コーダ あいのうたのronのレビュー・感想・評価

コーダ あいのうた(2021年製作の映画)
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たぶん滑り込み。自分が好きなタイプの映画を映画館で観ている時間、ほぼ瞑想なんだなってなった(?)

信田さよ子さんの『家族と国家は共謀する』を読んでいるところだったので「家族の愛」という言葉があたたかく包み隠す労働や搾取、期待とそれに伴うプレッシャーや苛立ちとかがすごく印象に残った、特に「失敗するんじゃないかって心配なの」「私たちのベイビーが」「頼りにしている」という台詞がそれを象徴しているなと感じた。それにすっくと立ち向かい否を突きつけるルビーのような姿勢は誰にでもできることじゃないなと思ったし、mr.vやお兄ちゃんなど度重なる誠実なレスキューがあってこそだなとも感じた。どちらにせよきっと身が引き裂かれるような痛みと向かい合わなくちゃいけなかっただったろうけど…。

あと、これは他の方のレビューを読んで思ったのだけど、ポリティカルコレクトネスと人間を描くことの塩梅がたしかな思慮深さによって裏打ちされている感じがしてとてもよかった(うう、語彙力のなさ)。ルビーの発表会でスッと音が消されるシーン、あれは映画館で観てこそだったなあ。うう、たくさん考えるフックがあって、まだまだ言葉にできてないので明日も明後日もゆっくり考えようと思う。ああ、あと、ルビーの独り立ちの物語のはじまりが気になるあの人と同じ部活がいいな🤔なのも人間っぽくてとっても好きだった。

ルビーの体験は想像することしかできないけど、私も小さい頃家族のなかで英語が一番できたのでレストランでの注文とかぜんぶ私の担当だったなと思い出した、英語ができない両親のことを友達にからかわれたこととかも思い出したなあ。なので、ルビーの愛と悲しみと恥ずかしさとどうしようもなさがごっちゃになった怒りにはわたしにもちょっと思い当たる節があった、気がする。ルビーは私とは比べものにならないくらい偉いけどね。

でも、感情移入という面においてはどちらかというと母に対してが大きかったかも(なぜ)。きょうだいものの上の子には自分を重ね合わせてしまうように、母というキャラクターにはどうしたって自分の母を重ねてしまうもので、特にこの映画における母は今の状況における母と重なる部分があったからかもしれない。母も観たみたいなので感想を言い合いたい気持ちとなんか喧嘩になりそうだなという気持ちの狭間にいる。ちなみに無骨で大きい父のキャラクターには農家の祖父を重ね合わせていました。

ああああ、あと、やっぱりオーディションのシーンはもうべそべそに泣いた、I love you ! !
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