コラボ

コーダ あいのうたのコラボのレビュー・感想・評価

コーダ あいのうた(2021年製作の映画)
3.9
 コーダは音楽用語の方ではなくて「聾唖の親を持つ子ども」の頭文字をとった略語。いつもは横文字をカタカナにするだけのくせにこんな時だけ変な配慮をする。この邦題に苦言を申したくなる。
 漁師をする父母と兄と4人で暮らすルビー。彼女以外の家族は聾唖者で手話でコミュニケーションを取っていてルビー自身はそれを周囲に伝える役割も担っている。この一家を演じる俳優たちがしめっぽくならずしっかり演じていて、邦画のように憂鬱にならない。無論、差別も陰惨にではないが描かれる。
 「通訳」として家業手伝いする自分の将来を受容していただろうルビーが音楽に才能を示して最終的に音大進学の夢を掴む。それがストレートに小細工なしで描かれて素直な展開。観てからしばらく経って、アカデミー作品賞受賞の報。印象に残ったのは、ルビーの母親が生まれたばかりのルビーも聾唖であってほしいと願ったが、病院で検査したら健常者だった、と語るところ。