Nori

コーダ あいのうたのNoriのレビュー・感想・評価

コーダ あいのうた(2021年製作の映画)
5.0
coda、children of deaf adults 。映画を見て初めてその呼称について認識する。聾学校があり、手話が存在していることは知っている。中学の時、1人の同級生が手話を学んでいると聞いたことはあったが、自分の心を動かされることはなく。deaf の人にも、codaにも、関わりのない人生を送ってきた。

10年程前に知り合った後輩が実はcodaであったこと、本人から聞いたのは出会ってからかなり経ってからだった。その事実を知ることで、物事の見方は変わる。知らないこと、関わりがないことについて、理解しようと努力することはなかなかない。現代人は忙しいのだ。

本作を観て、deafの人々の日常、彼等に見えている風景を初めて体感した。そして、その家族と世界を繋ぐ存在として宿命づけられたcodaの日常も。
私が無知で無邪気な若者であったとして、codaの側に立って行動する可能性はあったのだろうか。codaを冷笑する側にいたのではないか。情けないことだが。

常に家族と共にあったルビー。その変化のきっかけは、ほんのささやかなこと。特定の異性への好意、それ故にたまたま所属した合唱部、顧問との出会い。人生は偶然であり、必然でもあることを、こんなにも感じさせてくれる作品もなかなかない。
そして、本当にささやかな選択の連続が、今の、そして、将来の自分の人生を形作っていく。

ルビーの恋や夢、家族がそれぞれに歩む道。心震えたし、涙した。

後日聴くことにしている、サントラが楽しみだ。そして手話、少しは学んでみようかな。
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