自分以外全員耳が聞こえない家に生まれた主人公が、歌の才能に開花して音楽大学を目指す話。
夢は追い掛けたいけど、
自分が家を出てしまうと、
聾唖者の家族と健常者の世間の橋渡しとなる、通訳がいなくなってしまうという大きな壁が立ちはだかります。
これね、まぁストーリーは皆さんの想像通りですよ。結局家族が応援してくれて歌の道に進んでいくんやろうなって誰でも分かるやん?
この映画が泣けるのは、ストーリーじゃないのよ。
演出がエグいぐらい泣かせにくる!
まずね、
冒頭からずっと主人公が練習してる歌があるんですよ。
その曲しか練習してないぐらい。
なのに視聴者が一番聴きたいコンサートの、その本番だけ、「無音」で流すんです。
映画の中で1番の見せ場であるはずのシーンを、あえて主人公の聾唖者視点で見せるんよね。
あんなに練習したのに、
歌声一切聴こえへん。
でもメチャクチャ歌上手いっていうのが分かるんです。
なぜかというと、
コンサートの客席の人達が、
主人公の歌声を聴いて体を揺らし、
涙を流し、盛大な拍手をする、その映像だけで、歌の上手さを表現してるんです。
そこで初めて家族達は「ウチの娘の歌、メッチャ上手いんや」って知るんです。
あの演出、凄過ぎるわ。
ほんでコンサートの日の夜ね、
あのシーンは全員泣きますね。
お父さんのためだけに一曲歌うんやけど、
その歌声をお父さんは聴けないから、
娘の喉に手を当てて、振動を感じて心で聴くっていうシーンがあるんです。
お父さんがね、
メチャクチャええ顔で聴くんよ。
そしてとにかく、
一番の名シーンはラスト!
聾唖者のお父さんが、
ラストに一言だけセリフを喋るんやけど、
その一瞬の為にある映画です!
あそこで涙腺崩壊!
あの台詞を際立たせるために、
お父さんは2時間台詞無しでやってきたのよ!
あそこだけでも見て欲しい!
あれで泣かないパパはいません!
いやー、名作でした。