しゅおん

コーダ あいのうたのしゅおんのネタバレレビュー・内容・結末

コーダ あいのうた(2021年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

開始10分でこれは最後まで観てしまう作品だなぁと感じたけど、正解だった。
全く内容を知らないまま、視聴。
偏見ではないのだけど、最初女の子が漁をしながら音楽を爆音で流すシーンにびっくりして、何だ、この世界はって思ってすぐに惹き付けられた。
観ていくと理不尽な扱いをされていて、それはろう者だからという事がみえてきて。
主人公のルビー以外の家族がろう者という設定も中々斬新だなと思った。

序盤のルビーが自分の人生の目的を見出す歌唱部への入部、中盤から終盤の歌唱の先生とのやり取りがふっと笑えるような感じで、作品自体を暗くしない見せ方も良かった。

そして最後の方のルビーとお母さんとの会話も印象的だった。
ルビーを手離したくない過保護な母。
自分の人生を生きたいけど、家族を投げ出してまで追うことはできないと葛藤するルビー。
このシーンはすごく分かる部分があって。
お母さんが自分のことしか考えてない勝手さに腹が立つ。
取材勝手に受けないでよっていうのとか、やりたいことを諦めて家族を手伝う(養う)ルビーの気持ち、分かってるのかな。
どれだけルビーがもがき苦しんでるのか、分かってるのかな。
そんな所がまたリアルに描かれてるなと思った。

お父さんとルビーのシーンも良かった。
聞こえないけど歌ってというお父さんの望みに心から応えるルビー。
お父さんの気持ちの繊細さ、色んな想いが表情で物語っていて、そこにうるっときてしまった。
きっとルビーの素敵な歌は聴こえていたと思う。

そんでもって兄貴も良いキャラしてたな。
兄貴らしく、家族を想ってる。
それがどんなにぶっきらぼうでも、違う想い方でもいいじゃない。

そしてルビーが歌唱する所、ろう者側にはこういう世界なんだよって音を消して流れていくシーンや大学のテストで家族が見守る中、手話を使いながら気持ちを込めて伝えたいっていう気持ちで歌う所はとても感動した。

テストの試験官さん達がそれに気づいても止めさせない所とか、歌唱の先生がピアノを弾きに来る所とか、ルビーが心を込めて歌えてないのが分かってわざとピアノを間違える所とか、最高だった。

そんなに泣かせないでよって。

自分がやりたいことをできない人や悩んでいる人は沢山いると思う。
だけど、伝えたら何か変わるかもしれない。
反発しあってその結果、意見を聞いてくれたり、応援してくれるかもしれないし、別々の道を行くかもしれない。
それでもいいんじゃなかな。
だって自分の人生だから。
伝えてみよう。今日から、これから。

そう思わせてくれるし、そんな人達に向けて、希望を見出すような作品になっていると思う。
後半は終始涙が止まらなかった。
久々に沢山泣いた作品。
しゅおん

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