おりん

コーダ あいのうたのおりんのネタバレレビュー・内容・結末

コーダ あいのうた(2021年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

個人的にはかなりキツかったけど観てよかった映画だった。

家族で唯一の健常者である末っ子が小さい頃から家族に頼られ、世間からは好奇の目で見られ、一人聞こえるが故に家族からも疎外感を感じている。

母親が個人的に一番苦手で自己中心的。
歌が好きだと言えば「反抗期ね(笑)」
家族で楽しめない音楽は嫌。
ルビーに対してとても可愛いよしよしという感情はあるけど、自己犠牲してまで助けてくれている娘に対して「当たり前でしょ」感…。
ルビー自身のことは二の次で「今すぐ電話手伝って!」「歌練?取材きてるからムリ!」
免許事件の時には顔で「ほら〜!」なのがもう〜〜。
仕舞いには「耳が聞こえる子として産まれたと知った時には心が沈んだ」
いや、わかる、わかるよ分かり合えないかな〜不安だな〜って。
でも本人自身が母との関係が気薄で、旦那も聾者の時点で産むことを決めたこと、聾者の長男を産み、更に次の子を求めたこと。そういう背景があったんじゃないの?
ていうかそれを伝えちゃうんだ??
…これがどうしても脳裏にチラチラするので「あなたは勇気があって頼れる子」な〜んてあんたがそうさせたんだよ〜〜!!?
と残り20分になるまで許せなかった(笑)

兄は最初から「自分を犠牲にすんな」と怒るけど「お前が産まれるまで家族は幸せだった」と突き放すのが言葉強いよう…
父は「昔から大人だった」と頼りきってる現状はわかっているものの、口というか素行が悪い(笑)


基本的にルビーが不憫すぎて泣けてくる。
小さい頃からビール頼んでたんかな…
音のストレスってノイローゼになるよね…
親のSEX音毎日聞こえるんかな…ていうかそれを病院についていって通訳が当たり前の生活…
家族は聞こえないが故に気にしてないけど(そうならざるを得なかったのかもしれないけど)
ルビーは全部聞こえるどころか軽くいじめにあっとる。
家族に伝える愚痴ではないから自分で消化するしかないし、日常的に家族と聴者の架け橋になってること。


音楽に出会って、初めて人前で歌えて、どんどん変わっていくけど置かれた状況は変わらないから家族の末っ子17歳が一番大人に思える時もある。

また劇中の歌がリンクしているのがとても良い。

最後の父とのシーンは泣けるし、受験のシーンも泣ける。


寝ていて起こされた咄嗟の時、歌ってる時の気持ちを伝えてみろと言われた時
言葉よりも手話で伝える方が伝えやすい所を見ると家族とかなり会話してるよね。
なので受験のシーンで手話し出した所から歌声も本気になって良い…。

歌に興味はない(というか聴けないから娯楽にならない)けど娘の晴れ舞台には来る。
でもやっぱ聞こえないから夕飯の話もするし、手拍子合わんし、周りの反応見るしかない。
ルビーはそれも全部見えてるし分かってる。

こんな状況でもルビーは歪んでないところを見ると家族に愛されとるし受け止めとるんだなぁ、と思えて最後20分ずっと泣けた。

結果、家族もルビー自身も自立するお話だった!

コーダは音楽用語では終結部で締めくくる部分だけどダブルミーニングよね。
字幕で観るとコーダが聾者の子供と出てくるけど吹替だと伝わらんね。
字幕と吹替でニュアンス違う所もあるので出来たら両方観た方が良いです。

p.s.
「エール!」というフランス映画のリメイクとのことでその後観たら設定変わってたけど、オリジナルの方がシンプル。
エール!を観てからこちらを観た方が良かったなと思う…。
おりん

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