春とヒコーキ土岡哲朗

劇場版 呪術廻戦 0の春とヒコーキ土岡哲朗のネタバレレビュー・内容・結末

劇場版 呪術廻戦 0(2021年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

変えるためには、やるしかない。

願いを叶えるために戦う意味。呪いによってうつむいて生きる乙骨。しかし、それをプラスになりうると思ってくれた五条が、彼を呪術高専に入学させる。この出会いは彼にとって救いのきっかけだが、それだけでは救われない。乙骨は戦闘中に真希から叱咤され、自分の望みを叶えるには、とにかく戦って道を切り開くしかないと理解する。直接的に何をすれば願いが叶うかを明確にしたがるのは人間のダメなところ。そんな簡単に道筋なんて出てこない。自分の置かれた場所が自分にあっていて、そこで成果を上げ続けた先にしか、願いが叶う道はない。
覚悟を決めたらちょっとダークになるのがカッコいい。クライマックスの戦闘で、リカの力を利用すると決めた乙骨を、悪役・夏油は女たらしと揶揄する。それへの返しの言葉、「失礼だな。純愛だよ」。純愛な上で、使える力は誠意を持って使わせてもらう覚悟を決めた闘志のある言葉。声優・緒方恵美による怒りと脅しのこもった言い方も良かった。

愛の一つの側面としての「呪い」。
リカは、乙骨を愛するあまり、突然の事故死のときに怨霊としてとりついた。そして、乙骨に危害を加える者を攻撃するようになった。乙骨にとってこの加護は、晴れ晴れと生きていくことができない呪い。しかし、本当は呪いをかけてしまったのは乙骨の方だった。好きだから一緒にいてくれという気持ちから、死んだリカを成仏させずに自分のそばにいるように縛り付けた。愛は多かれ少なかれ「重い」。そこに憎しみが発生しなくても、何か悲しい角度が加わってしまえば、愛のままで十分毒になる。