ナーガ

隔たる世界の2人のナーガのネタバレレビュー・内容・結末

隔たる世界の2人(2020年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

アメリカに住む黒人青年に対する、白人警官による差別と暴力(というか殺人)を扱った映画です。
ラジオで町山智浩さんが紹介していて、興味を持ったので観ました。フィルマガの「【ここまで押さえれば映画通】知る人ぞ知るNetflixアカデミー賞ノミネート作品」にもあらすじが載っています。

《あらすじ》
主人公の黒人青年は、一夜を共にした女性の家から飼い犬の待つ自分家に帰ろうとしているだけなのに、白人警官に難癖をつけられて、殺されてしまう。気がつくと女性の家で目覚めた時点に戻っていて、女性との同じ会話が繰り返される。今度は難癖をつけられないように気をつけようとするが、結局は同じ白人警官に殺されてしまう。
これの繰り返し。タイムループもの。
何度も同じ時点に戻されるがその都度様々な方法で白人警官に殺される。首を絞められたり、拳銃で撃たれたり、家を出ないことにすると部屋にチームでやってきてライフルで銃撃されたり。
最後に彼は白人警官から逃れる方法はないのだと気づき、白人警官に自分から話しかけ懐に飛び込むことにする。何度も目覚めて何度もあんたに殺されると訴える。そして家に帰りたいだけだから、パトカーで送って欲しいと頼んでみた。白人警官は少しためらったが後部座席に乗せて送ってくれた。道中、ぎこちないけれども会話はそれなりに弾み、白人警官は「黒人とこんなに会話したのは初めてだ」と少し2人の関係はマシになったかに見えた。
しかし、‥‥。


《感想》
少しはハッピーなエンディングになるかと思っていましたが、そうではありませんでした。ずーんと胸が重くなるような映画でした。
でも30分くらいの映画ですし、テンポが良いので見やすいですから、興味を持った人は怯まずに見てほしいと思います。

最初の方で、白人警官の暴力に気付いてその様子を動画撮影する女性がいたので、この動画のおかげで何とかなるのかと思いきや、この映画の中では何ともならないです。
でも現実の、ブラックライブスマター運動が広がるきっかけになったジョージ・フロイドさんの事件では、複数の一般人が事件の様子を撮影していて、それが公開されたことで世界が知ることになり、先日の殺人罪の有罪判決につながったようです。
白人警官の暴力をその場で止めることはできなくても、スマホで撮影することで、警官による暴力の抑止につながって行くということもこの映画で訴えたかったのではと思います。
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