垂直落下式サミング

呪怨2の垂直落下式サミングのレビュー・感想・評価

呪怨2(2003年製作の映画)
4.5
清水崇が監督した四部作の事実上の最終作。ストーリードラマとして、一応の完結編として物語を閉じることを意識されているように思う。
まあ、でも、あれだ。ホラーのアイデアが尽きてきて、伽耶子や俊雄などキャラクターに依存しすぎるようになってきたので、そこは辛いものがある。
ここにきて、単発的な恐怖では限界がきたようで、ストーリー性を重視しているようだけど、ちょい微妙。一本の話にしないとだから、とりとめのないようなエピソードの羅列だったオリジナルビデオ版とは、恐怖の描きかたが変わってきてしまった。
でも、ちゃんと映像作家としての清水崇の色は濃くなっていくから、各エピソードごとにある挑戦的な表現は一見の価値アリ。俊雄くんがぶらんぶらんして遊ぶところは、背筋が凍る。
なかでも出色なのは、市川由衣の「千春」パートでみられるラリったような時間表現。呪いに取り込まれた者たちの、過去、現在、未来、自分と他人、それらが混ざり会うように強引に接合される。人の想い、世の穢れ、霊魂に起因する磁場によって、閉じた円環が形成されて、時間という出口がなくなる感覚。『輪廻』『ラビットホラー』『樹海村』に繋がるような、清水崇が得意とする悪夢世界の表現が、ここで本格的に形になっている。
あとは、酒井法子が歩道橋から突き落とされるラストシーンに、えも言われぬような切なさを感じてしまった。明らかに精神衰弱したお母さん、それにくっ付いている幼い娘、不健康そうだけど絵になる組み合わせをみせられたあとで、不意にあんなことになるから「えっ」と声が出てしまった。
とりあえず、オリジナルビデオ版から酷かった堕胎ネタをメインにして、より直接的な表現でみせつけてくるので、人によっては受けるダメージが許容オーバーしてしまいそう。妊娠とか、出産、育児、全部が嫌になるくらい。
妊婦さんはみないほうがいいです。ホント絶対やめてください。これに関してはどうやっても責任持てないので。