Masato

ひとりじゃない、わたしたちのMasatoのレビュー・感想・評価

3.9

独身男性とその代理母の奇妙な絆を描いたコメディドラマ。

ドキュメンタリーチックで淡々とした作風のコメディドラマ。ほとんどが二人の会話劇で構成されていて地味さはあるものの、話が進むにつれてその二人の関係性に魅了されていく。代理出席という角度から本質的な愛情を語っていく作品は奇妙ながらも胸いっぱいの感情に包まれる素晴らしい映画だった。

独身男性と代理母というパートナーでなければ他人でもない。でも命を共有している関係性。故に距離感が分かりづらくて、ドギマギしている感じが面白い。それよりもプラトニックな関係でお互いを"気持ち悪くない意味で"愛しあっているこの関係性が物凄く好きでたまらない。下手に恋愛関係にならず心の奥底で繋がっている。私は性的な行為で愛情を表現するってのに違和感があって、本作が一番しっくりくる愛情表現かもしれない。それは決して恋愛という意味ではなく、まっさらな純粋な愛。

一見白人の独身男性とお金に困っている女性の関係性でかなり気持ち悪いが、男性のマットがかなり理解があって良い人なのですごく良好な関係。だけども、お金を持っている白人男性と高校時代に子どもを生んで学業から身を引かざるを得なくて、今大学に行くためのお金が欲しい女性という搾取構造であることには変わりなくて、そこが瞬間的に出てくるのがうっ…となった。子どもを持ちたいというのならば養子でも良いわけであって。それと産んでも他人でしかない孤独感とか。本能と理性で感情が混乱するところとか印象的。

でも二人が他人に産んでもらうということ、そして他人の子どもを産むということ、それぞれの立場で愛するということはどういうことかを模索していく様は感動的だった。それぞれが今ある幸せを掴んで未来へと歩いていく姿は良い。

エド・ヘルムズはめちゃくちゃ変な奴役多いけど、今回めちゃくちゃイイヤツで良かった。代理母役のパッティモリソンがすごく良かった。本当に良かった。ベトナム系アメリカ人でコメディアンでもあるとのことで。これからもチェックしたい。
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