ごんす

そして、バトンは渡されたのごんすのネタバレレビュー・内容・結末

そして、バトンは渡された(2021年製作の映画)
1.2

このレビューはネタバレを含みます

永野芽郁の演技力への依存が強すぎるなと思った。
泣く人の気持ちは分かる。

しかし作品のテーマが子供=天使、その天使のお世話をすることこそ人生最大の喜びである!かのように感じてしまった。
そこが良いと感じる人も当然いるだろうけど、そのトーンがあまりにも強すぎて自分には洗脳のように感じて怖かった。
二時間を超える尺でカルト教団のPVを見せられた気分。

“こういう時こそ笑っておかなきゃ”という言葉に縛られている子供を解放してあげるような所があっても良かったように思うけどその逆だった。
その言葉が染み込んでいたおかげでいじめっ子も勝手に歩み寄ってくる。
しかも“家庭が複雑”という所にぬる~く共鳴して適当に友達になる雑さに驚いた。
いじめられても笑ってやり過ごしていたら向こうが先生に注意されたんだか知らないが勝手にいじめをやめてくれる。
更に明確な謝罪もなく接近してきて本人もそれを無条件で受け入れて仲良くなるという…ファンタジーだとしても不誠実で受け入れ難いいじめ描写で最低だと思った。

普通に「無理して笑わなくても良い」とか言ってくれる人が現れた方が感動する気がするけどそこも逆でサイコパスのような目をしたピアノが上手いっぽいイケメンが「強いんだな。意地悪されても笑ってたろ」とその笑顔に惹かれていく。

この岡田健史演じる早瀬が優子に「あんまり笑わないね」と言われると「母親に反発するうちにさ、表情忘れちゃったよ」と急にトレンディな口調になっていて早くも笑顔のカルト教団へ入団の兆しが窺えた。

主人公達サイドの人間に勝手に感化(洗脳、入団)されていく人が集まってきて、思いを汲んでくれる。
話の展開も実は~でした。って後だしじゃんけんの感じで進んでいくのがきつい。
しかもその実は…の内容がまぁそうでしょうねレベルのことばかり。


我らが田中圭が演じていた森宮さんも梨花さんの洗脳下にあったのかと思ったらそもそも彼は「いつか子供と一杯やるのが夢」というぼんやりとした思考回路のみを装備したAIロボットみたいな人だったのでまた別のお話だった。

ちなみに演技はあな番の時の使い回しに感じたので田中圭第①形態でした。
彼の健やかな成長と健康を願う自分としてはもっと色んな役が見たいです。

しかし観終わってみると外部からの入団者で優子のパートナーになる早瀬くんのピアノの腕が果たしてどのくらいなのか?そもそも優子を愛しているのか?が全然分からなかった。
ただただ他に適任者がいないので教団のNo.2のポストに収まった印象。
やがては暴走し優子を裏切るのでは…などと推測してしまう。

そういえば泉ヶ原さんというおじさまも気付いたら終盤の説明台詞要員になっていた。
教団最高齢としてもっと見せ場を与えてほしかった。

もう完全ファンタジーだから時代設定とか気にしない方が楽しめるのだろうけど、スマホとかSNSとかも多分出てこなかったからいつの時代の話だろうと不思議だった。
agnes b.の時計とかはドン!と出すのに…。

母親とは?価値観の共有とは一体…と考えさせられるという点で『湯を沸かすほどの熱い愛』や『ミッドサマー』を想起。
それらを掛け合わせて24時間テレビの中で放送できるドラマを作ってみました!みたいな印象を持った。
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