ucandoit

シリアスマンのucandoitのレビュー・感想・評価

シリアスマン(2009年製作の映画)
5.0
2009年 コーエン兄弟

「ファーゴ」と同じミネアポリスが舞台のブラックなコメディ。
思いっきりユダヤの映画で非ユダヤにはとても難解です。
夢と現実が入り混じる。
バルミツバー(13歳の通貨儀式)前後の少年は葉っぱとロックに夢中の親不孝。
彼は真面目な物理学の大学教授ラリー(マイケル・スタールバーグ:「シェイプ・オブ・ウォーター」)のバカ息子です。コーエン兄弟の実父も大学教授。
不確定理論の研究者というのもブラック。

なんか面白かったので最後まで一気に観ましたが、モヤモヤしか残りませんでした。

困ったときの町山さん。
町山解説で「ヨブ記」とジェファーソン・エアープレインの「Need somebody to love」(僕らの世代だとウッド・ストックが思い出されます)がヒントだと言う事で大いに納得。
評価を大幅に上げました。
二つのお題でこれだけの映画を作るって凄い。

ネタバレ備忘録に書いてあります。


ネタバレ備忘録

意味不明の昔話。
さて落第点を取った韓国系生徒は賄賂をそっと置いていく。
突っ返したら父親から名誉毀損で訴えると脅される。
帰ると奥さんが知人とデキて離婚したい、貴方出て行って。鬼だw。
住み着いている弟は秘数学でギャンブル研究、ついには警察に逮捕される。
息子は葉っぱとロック(ジェファーソン・エアープレイン)、勝手にレコードを通販で買う。まさにコーエン兄弟そのもの。
隣の白人至上主義者はユダヤ人一家に敵意を
持ち、敷地を徐々に侵略してくる。
しかしテレビのアンテナ調整で屋根に登るとムチムチ奥さんが全裸で日光浴(その後は妄想シーンのみ)。
あまりに運が悪いのでラビ達に相談するがまともなアドバイスは皆無。
しかし最後の方は段々良い方に向かい、通過儀式も無事終了、奥さんとの関係も改善(彼氏は自動車事故で死にラリーは葬式代を払わされた)。
そこへ弁護士から請求書(離婚と弟の逮捕がらみ)。思わず韓国人生徒の賄賂に手をつける。
すると医者から電話があり、直ぐに来るように言われる。
巨大な竜巻。
不条理の極みです。

町山さん解説。
ヨブ記
ヨブという信心深いシリアスマンがいた。
神と悪魔が相談(悪い悪戯)。
信仰心が強いのは将来の良き事を願ってのことだから試してみようとヨブの持ってるものを次々と奪う。
財産を奪い、子供を殺し、病気を与える。
妻は神を呪え、友人は旧悪があるだろうと有らぬ疑い。
神に聞くが無視される、と言う不条理。

そこでジェファーソン・エアープレイン。
真実が嘘だと分かったらどうする?
神でなく、愛を探せ。
When the truth is found to be lies.
And all the joy within you dies.
Don’t you want somebody to love.
Don’t you need somebody to live.
Wouldn’t you love somebody to love.
You better somebody to live.

同じユダヤ系のビリー・ジョエルに「イノセント・マン」と言う曲があります。なんか関係あるのか、無いのか。
ucandoit

ucandoit