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サマー・オブ・ソウル(あるいは、革命がテレビ放映されなかった時)のsowhatのネタバレレビュー・内容・結末

3.0

このレビューはネタバレを含みます

「音楽は従」

Woodstock Music and Art Festivalは、1969年8月15日から17日までの3日間に渡り開催され、約40万人が参加した。マイケル・ウォドレー監督、マーティン・スコセッシ編集の映画「ウッドストック/愛と平和と音楽の三日間」は、1970年に公開され、第43回アカデミー賞長編ドキュメンタリー映画賞を受賞した。

 Harlem Cultural Festivalは1969年6月29日から8月24日までの日曜日、6回の無料コンサートとして開催され、観客約30万人が参加した。その様子を収めたドキュメンタリー映画である本作は、黒人ヒップホップバンドのドラマー兼フロントマンでもあるアミール・“クエストラヴ”・トンプソンが監督し、2021年に公開された。「サマー・オブ・ソウル(あるいは、革命がテレビ放映されなかった時)」というタイトルが付けられたが、正確にはブラックパワー運動のドキュメンタリーと言うべきで、黒人活動家や出演者、観客のインタビュー、ジェシー・ジャクソンの説教、当時のニュース映像などが主で、音楽は従になっている。

 ブラックパンサー党が会場警備を行っており、観客はほぼ黒人のみ。マックスウェル・ハウス・コーヒーとニューヨーク市がスポンサーになっており、頻発していた暴動や混乱を牽制する狙いもあったとのこと。白人市長のスピーチも収められており、政治色の強い催し物だったらしい。1963年ジョン・F・ケネディ、1965年マルコムX、1968年キング牧師とロバート・ケネディと、当時重要人物の暗殺が続いており、司会者がスピーチで言及している。貧困、差別、麻薬、暴力など、アメリカの黒人たちの置かれていた状況は極めて厳しかったことが、挿入された映像で説明される。

 豪華な出演者の中で最もラディカルだったのがニーナ・シモン。コンガのリズムに乗せ、Last Poets (David Nelson)の詩を読み上げ、全ての黒人に自己変革を迫る。

 「準備はいい?黒人のみんな  必要なことをする準備は?  黒人の男性たちは?  黒人の女性たちは?  準備はいい?  さあ よく聞いてね  必要なら殺す覚悟はある?  心の準備はできてる?  体の準備もできてる? 白いものをたたき潰す準備は?  ビルを燃やす準備は?  黒人のみんな本当に覚悟はできてる?  美しき黒人たちの声を聞く準備は?  美しき黒人たちの心を感じる準備は?  常に黒人を愛する準備は?  黒人のみんな 準備はいい?  変わる覚悟はできてる?  とってもイケてる黒人にね  自分自身を変える準備は?  完全にね  自分自身を完全に  完全に完全に完全に完全に  本物の黒人になる準備は?  覚悟はできてる?」

 豪華な出演者の中で最も盛り上がったのはスライ&ファミリーストーン。スライもシンシアも若くて元気!スライの歌詞と曲はやっぱり革新的!

 豪華な出演者の中で最も残念だったのはマへリア・ジャクソン。歌はいいんだけど、ドレスの色が明るすぎるし化粧はダマになってるし歯は抜けてるし。本人曰くこの日気分が優れなかったらしいけど、パフォーマンスの神々しさでは「真夏の夜のジャズ」の圧勝。
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