前髪メガネ

成れの果ての前髪メガネのレビュー・感想・評価

成れの果て(2021年製作の映画)
3.9
ずっと地獄みたいな空間

8年前の事件によって心に傷を負って上京した主人公の女性が姉から連絡を受け、その事件に関わった男性と姉が婚約したことを知り、いても立ってもいられずに帰郷するが、彼女の過激な言動が周りの人々を巻き込み、それぞれの隠された人間性をあぶり出していく様が描かれる。

勧められて鑑賞。
鑑賞後に気がついたけど、監督、恐怖人形の監督なの!?全然作風違うじゃん、いや全くって事はないのか?でもこんな作品も撮るんだぁ。てか元は戯曲なのね。じゃあまだわかる。

主演は萩原みのり。彼女の演技はにはいつもこちらを見透かしている様な雰囲気があるが、今回もまたそう。

あらすじの事件内容を作中で明言されるまで結構な時間あるから、何があったんだ?もしかしてあれか?そうっぽいけど…、やっぱりそうだ!だとしたらなんでそんな男と結婚??と常に客観的でいられたけど、正直本作の誰にも感情移入できないし、同意したくない。

全員バグっている。
小夜はまだ理解できるけど、対面する勇気、勇気というか復讐心がエゲツない。
姉のあすみが一番の謎でしかなかったけど、ラストで溢れ出る感情が冒頭からのモヤモヤを一気に晴らしてそこで本作は完成を迎えたと思う。
怖かった。

正直、これは鑑賞作品だけど小夜と同じ体験をした人は少なくはないと思うからこそ、気が重いし加害者は絶対に許したくないのに、今でも平気に、なんなら武勇伝の様にベラベラと話しているかと思うと、、殺意しかない。
どんなに反省したと言おうと、どんなに償う姿勢を見せてきたとしても被害者の心はそう簡単に元に戻るわけでもない。
でもじゃあ被害者はどう立ち直ればいいのか?とても難しい。
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