hoshikazukanjo

キャメラを止めるな!のhoshikazukanjoのネタバレレビュー・内容・結末

キャメラを止めるな!(2022年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

フランソワ・トリュフォーが監督業のことを「嵐の海を難破しないようなんとか舵を切って進んでいくこと」に喩えていたけど、「カメ止め」はまさにそれを体現していた。泥臭くて、ダサくて、でも映画を完成させたいというみんなの思いがカッコよくて、めちゃくちゃ笑えて泣ける大傑作だった。三重構造かつ二部構成でこれを作った本家のアイデア自体が既に大発明って感じだから(それも盗作騒動あったけど)、それをなぞっただけでも一定の面白さは担保されてしまうのだけど、正直なぜリメイクしたのか疑問に思ってしまう質だった。この監督自体、既に「グッバイゴダール」でゴダールファンを激怒させてるくらいだから、リスペクトをもってオマージュ捧げないといけない作品は向いてないんじゃないかな。いや、むしろこの監督(名前で呼んであげなよ)自体が「安くて、早くて、質はそこそこ」で、メタ的な人選になってるのか!?プロデューサーも劇中に出てくるプロデューサーのようにテキトーなのかもしれない。事情は分からないけど、いちばん気になったのはギャグの気持ち悪さ。人種、授乳、戦争をネタにするのってちょっとどう受け止めていいか分からないんだけど。フランスと日本の笑いの違いなのか??でも私はフランスのタチ、エテックス、ロメールで死ぬほど爆笑するしなんなら心穏やかになれるから、やっぱり文化の違いというより感性の問題だろう。ラストの感動的な肩車のシーン、劇中の監督はなぜ自分の娘(という設定)の太ももを撫で続けているの??あんな高いところでそんな触られたら不愉快じゃない!?映画内映画が完走したあとにフランス語版だとどんぐりさんが「まあこんなもんやろ」みたいな微妙&諦念のような発言をするけど、まさにその通りの映画だった。ちなみにここ、本家だとどんぐりさんが「本番はトラブルもなく良かったです!」って現場ではトラブルだらけなのにそう言ってることまで含めてギャグなんだよね。エンドロールも、実際に映画を撮ってるプロの現場をみることで感動が増すわけで。そういう細かいところがやたら目についてしまってダメだった…。いや、本家が良すぎるのよ。ハードル高すぎたのは仕方ないね。「カメラを止めるな」のフランス版を「キャメラを止めるな」という邦題にしたところだけ100点!
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