雄貴AUE

べイビーわるきゅーれの雄貴AUEのレビュー・感想・評価

べイビーわるきゅーれ(2021年製作の映画)
4.5
2023.4追記
もう3回目だけど2観たあとまた鑑賞してしまいました。やはりまひろは1のこの笑わないまひろが僕は好き。ていうか伊澤沙織さんが好き。でした。
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同監督の『黄龍の村』鑑賞後に、勢い余って元々気になっていたこちらの作品も鑑賞してしまいました。
結果、2022年鑑賞トップ6に入るくらいとてもとても好きな映画でした。わざわざU-NEXT無料トライアルに登録して良かった!


この映画の面白さはたぶん、高校卒業したての18歳の女の子たち×殺し屋、というミスマッチの『日常』が凄くリアルに描かれているところ。

いや、そんな人達は現実には存在しないはずなのでリアルと言うのはおかしいんだけど、2人の子気味良いやりとりの端々に『リアリティ』か詰め込まれていて、本当に18歳女子の殺し屋コンビが居たらこんな感じなんだろうな、と思わせてくれるということ。
セリフの言葉選びや、やたらと長いワンカットとかが現実らしいだけじゃなく、何度も出てくる食事のシーンとか、もう寝よー とか おはよー とかっていう何気ないシーンが、生活の解像度を強烈に高めてる感じ。
そういうとても邦画的・純文学的な演出と、笑えるやり取りとキレッキレのアクションシーンが90分程度のちょーど良い尺にギュッと詰まっていて、実は凄い絶妙なバランスで成り立ってるんじゃないなと思う。これが巷で言う『阪本映画』なのかしら。


そしてこの映画を観進めていくと段々惹き込まれていくもう1つの大きな要素が、主人公2人の愛らしいキャラクター。観終わる頃にはもう まひろとちさと大好き!幸せに暮らして!ってなってた。
演じるお2人も当然大好きになってしまうんだけど、特にちさと役の髙石あかりさんの、あの『普段ヘラヘラしてるけど急に真顔の怖い口調が出る女』の演技がマジでリアルだった。居るよねー、ああいう人。
マジで普段の素がアレに近いのか、めちゃくちゃハマり役の怪演か、、どっちなんだ?笑
(追記:メイキング等々見てると少なくとも半分は素っぽい笑)
ともかくキュートでコミカルでブチ切れ演技も上手くて、他の出演作も観てみたいなあと思わされました。

まひろ役の伊澤彩織さんも、社会不適合者の演技とても上手で(褒めてる)、そこからのバチクソカッコ良いアクションシーンのギャップが最高でした。
敵役のアクション俳優さんとの戦闘シーンがバチボコかっこいいのはもちろん、決着後まず出る一言がキメキメの台詞とかじゃなくて『あーー疲れた』なのがまた生々しくて良いよね。
調べたところ、公開当時で髙石さんはガチの18歳だけど伊澤さん27歳とかなのね。凄い、見えない。
あと劇中はほぼ無表情だけど、エンドロールのメイキングの笑顔がキュートでやられました笑


結局、終わってみれば大したことは起こっていなくて、ちょっとルームメイトと喧嘩したけど仲直りして将来の進路が決まった、くらいのもんていうのがまた邦画的でよい。
まあヤクザは壊滅させてるんだけど、別にでかい大義があるとか親友を人質に取られて、とかじゃなくて成り行き上ケンカになったくらいのもんだし、それもあくまで彼女たちの『日常』の延長に過ぎないんでしょう。
でも2人の距離は少しだけ変わった、のかな?

そんな鑑賞後の余韻感もとても良い映画でした。
個人的に邦画の1番の良さだと思っている、だらっとぬるっとした純文学的な緩やかな空気感って、やはり全国ロードショーのハリウッドアクションムービーが好きな人にはどうしてもウケないけど、この映画ならアクションもあり長すぎず、で勧めやすいかも。
あとはU-NEXT以外でも配信してくれれば、、
雄貴AUE

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