「花束」きっかけで今村夏子を知り、原作読んでました。
原作を読んでる作品の映画版を見るのは最近なかなかない。
思い出すだに印象深いシーンの多い短編だったので、
映画は合うだろうなと思っていた。
また難しいあみ子の役柄だけれど、
メインヴィジュアルの女の子がいかにもあみ子だったので、
これなら大丈夫かもと思ってた。
それで見てみた感想としては、
やっぱりよかったなぁと思う半面、
子どもの演出が残念な部分もけっこうあって、
是枝さんが撮ってくれたらなぁなんて思ってしまった。
題材的にもない話じゃないように思うし笑
どういう話か知らないで見たらもっと刺さったのは間違いない。
今作はとにかく発達に特性のある子に対していかに社会に理解がなく、
異物として扱われる側の子どもが孤立してしまうかという話。
遠ざけて、隠して、深く関わろうとしない。
表面的な優しさだけで取り繕った結果として、
あみ子自身が「おばけ」的な存在になってしまう。
仕事柄、あみ子のような子と接してきたけれど、
これだけ発達に特性がある子がたくさんいても、
学校を含めた社会はまだまだそういう子に対する理解がなく、
不登校の増加(この5年だけで1.5倍増)にも表れているように、
特性のある子は生きにくさを感じ、
それが生きる上でディスアドバンテージになってしまっている。
お母さんと出会った直後の兄は、
あみ子にすばらしい問いを発している。
また「お母さん」ともすばらしい関係を築きかけていた。
目の前の事象に対してどう向き合うか、
それを教えなければならなかったのが父親なのに、
彼自身が息子のタバコにすら目を瞑る。
そして別々に暮らすときですら、
その事実をあみ子に教えようとしない。
本当にひどい親父なのである。
あみ子が殴られる直前のやりとりや
兄が部屋に突然現れるシーンなどは
本当に今作の肝となるシーンだと思うのだが、
子どもの演技が正直残念だった。
しかし原作がとにかくいいので
今作もすばらしかったです?