学生運動加熱前夜の闘争の記録。この事件をまるで知らないものでなんとも言い難いが、事の顛末は本国で反政府活動（と見做される）をしていた国費留学生が一方的にそれを打ち切られた事から始まるらしい。学生の身分を失えば当然ビザが消滅し本国へ強制送還→処罰の流れは必至、だが文部省（当時）及び大学は「たかが一人の留学生」の態度、本人は文部省相手に訴訟を起こし大学にも復学を求め、それに大学自治を強く求める学生達が呼応する形になる。今日まで続く技能実習問題にも通ずる人権軽視の根本をみる様な気がするし、大学当局の態度がそれが本当に話を聴く側の姿勢か？ってくらい劣悪。まだまだ団体行動より交渉の方が目立つ穏健な態度の学生達だが、この数年後にはバリケードが築かれ火炎瓶が投げられる様になるのもある種必然だったのかもしれない。最後は一応痛み分けの様な決着を見せる、土本典昭の国に喧嘩を売る姿勢はこの頃から健在らしい。

非常に優れた、そしてアツすぎる政治ドキュメント
不安げな顔のクロースアップ、トラヴェリング、ズームイン・アウトが記憶に残る
映像と音声のズレ(チュア君と学長)は、あの有名なチッソの株主総会のシーンも重なる？
メガホンと聴衆の切り返し
不穏な太鼓の音
マルチチュード、存在論的政治との関連で腰を据えて論じたくなる一本