タカナリ

ブラック・ジャック ふたりの黒い医者のタカナリのレビュー・感想・評価

2.5
テレビシリーズ「ブラック・ジャック」の劇場版。
ブラック・ジャックが、“サタン”と呼ばれる悪魔の細菌による脅威に立ち向かいます。

原作の複数のエピソードを一つにまとめ、劇場用オリジナルストーリーとして作られています。
テレビシリーズの流れで作られている作品なため、アニメオリジナルの設定などが多く盛り込まれています。

注目は、死の外科医ドクター・キリコとの対決。
金次第で人を助けるブラック・ジャックに対して、ドクター・キリコは金次第で人を殺します。このやり方・考え方はブラックジャックとは正反対です。
そんな二人がどのように対峙するのか。
最初の対決はハラハラしましたね。

そして意外だったのが、ブラック・ジャックが助けた患者を病気とは関係のない事故で死なせた事。
どんなに凄腕で、どんな病気を治せる医者でも、運命までは変えられない。
ブラック・ジャックも万能ではないという事に気付かされました。
かなり後味悪いですけどね。

この後味の悪さは好きではありません。
これと同様に、序盤の子供救助シーンも好きではありません。救助のためとは言え、切るのはすごい嫌でした。切った瞬間が描写されているわけではありませんが、親としてはあまりに辛かったです。

複数の話を繋ぎ合わせるのはいいんですが、それが上手く繋がってはいないように感じました。
命を救えなくて気持ちが沈み、それで馴染みの刀鍛冶のとこに行き、そこで気持ちの整理をつけるのかと思いきや、ただメスを鍛えただけ。
こんな感じで、キャラクターの気持ちが持続していないので、何について描きたいのかよく分からなくなってます。
最後にそれっぽい事を言っても、後付けのような感じがして心に響きません。

一番許せなかったのは、ブラック・ジャックをただの人殺しにしたこと。しかもメスで。
いくら襲われても、メスを武器にしては医者失格だと思います。これじゃあやり方が違うだけでキリコと一緒。キリコに言い放った言葉は一体何だったのでしょうか。
そのキリコにしても、最後はなんかただ良い奴になってるし。キャラぶれすぎ。
最後のシーンは本当に蛇足。

テロ集団も頭悪すぎてイラッとしました。
ワクチン作って欲しいのに医者殺したら意味がない。暴力も仕事が出来なくなるから逆効果。
ブラック・ジャックを脅すならピノコを使うべきでしょ。

京都のガイドブックくらい手抜きせずにちゃんと描いてほしい。
映画なんだから。
それすらも出来ていないくらいに駄作でした。