え...ちょっとこの映画はタダモノじゃなさすぎてやばい...。なんなんこれ。傑作やんけ。傑作に見えない傑作というか。
割りもカット自体の長さも構図も落ち着きすぎててこれで長編初監督は。才能。
なんとなく「冴えないOLがひょんなことから男と出会って...」的な軽いやつかと見始めたら。なんか思いっきり不穏だし。だけど意味のない不穏ではなく「かゆいところに手が届く」不穏さ。それこそ深田晃司とか濱竜が醸し出すあの感じに踏み込んでいる。
かと思いきや終盤に向けてきちんと脚本としての定石踏むようなたたみ方してくるし。けどこっちが想像するほどのところまではやりすぎないバランス感覚。抜け目なし。
(主人公は70分地点ではじめて受動から転じて自発的に行動を始める。残りの20分でそれまでの関係性を"裏返して"いく)
とりあえずここ5年の(イイ方に)「おもてたんと違う」映画No.1。
クラシックなハリウッド風の、マスターショット的なものからそのまま同ポジ寄りを堂々と使える人は強い。これ自分の中での法則なんだが。