ゆき

前科者のゆきのレビュー・感想・評価

前科者(2022年製作の映画)
4.1
おかえりなさい

演者さんたちと魅せ方が長けすぎている一作でした。
ドラマ版は大東さんはじめ「前科者」たちに魅せられ2度ループしてしまった。
劇場版はよりわかりやすくドラマチックでエンタメ的、阿川先生の人間性にも迫っていく展開。
保護司も人であり元受刑者も当然「人」であること。だからこそ「弱い」ことが救いになるというみどりさんのセリフや「生き返る」ための厳しく温かい言葉が溢れていた133分でした。
ラーメン、だけで注文は通るし、警察はポンコツなのにやり方はトレンディだし、唐突に想いを重ねるシーンも然りツッコミどころはたくさんある。
それでも終始迫りくる不安感と対峙し、言葉の一つ一つをいいバランスで大事に紡いでいく構成にすごく胸打たれる作品でした。
大事なカットは演者さんの顔圧が物語る。
実際の保護司さんはどれくらいの年代の方が多いのだろう。
色んな形の愛情を基盤にして、「被害者」と「加害者」そして「遺族」も増やさないため、希望を絶やしてはいけないと思える時間でした。
コンビニ店長の対応がより柔軟になっていて、猫の手も借りたいくだりが愛おしすぎた。

頑張りすぎないでくださいね。
×××
元受刑者の更生に寄り添う保護司。国家公務員ではあるものの報酬はない。3年目の保護司、阿川佳代が担当している工藤誠は着実に更生し、阿川も喜びを分かち合う日を心待ちにしていた。しかし、工藤は忽然と姿を消す。
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