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007/美しき獲物たちのmatchypotterのレビュー・感想・評価

007/美しき獲物たち(1985年製作の映画)
3.6
『007』シリーズ、第14弾。
ロジャームーア“ボンド”、7作目。これが彼のラスト“ボンド”。

女性をもてなす英国紳士と、危険な諜報員と、“殺しのライセンス”を見事に体現したロジャームーア。
コミカルなキャラクターも含め他の“ボンド”にはない軽さと冷静さと切り替えの速さ。
それでいて、ピンチに陥っても必ず抜け出し、真相に迫る。

空も海も陸も、どんな乗り物であろうとのりこなし、時に宇宙に飛び出そうと、いつも変わらないこの飄々とした性格で難局を乗り切り、確実に追い詰める。逆に追い詰められても言葉巧みにすり抜ける。

軽過ぎず、重過ぎず。派手過ぎず、地味過ぎず。
やってることは尋常ならざる危ない橋を渡り、世界の危険と向き合ってる。
なのにいつでも紳士なこのロジャームーア“ボンド”、とても素敵。
ダンディで少しお茶目で危険な女好きの男。男が惚れる男。

今回の相手はクリストファーウォーケン。こっちもこっちで渋い男。
そして、石油とガスで財を成し“ゾリン”なる組織で悪巧む大金持ちの実業家。

こんなの彼の裏に潜む危険に迫る捜査だから、とてもハイソな雰囲気が漂う作品。

イギリスの競馬は紳士の嗜みでもあり、綺麗な芝生や、着飾った紳士淑女と、池や噴水など景観の良いロケーションも多い。歴史ある煉瓦造りの建造物や調度品もある。

これまでのロジャームーア“ボンド”も良く冒頭のアクションがスキー、雪化粧の山岳地帯が多かったイメージ。
今回もそうだけど、そこからこの英国のエレガントな諜報活動になるので、とにかく壮大で美しく、格式高い雰囲気に囲まれる。

こんなところでこんなことしてみたい、というシチュエーションがいつも以上に多かった。

だからこそ、007の存在や、クリストファーウォーケンや彼に寄り添うゴリゴリの武闘派黒人女性などの存在が際立つ。

そんなロケーションからちょいちょいハイテク技術的な仕掛けやガジェットが顔を覗くが、今回はそれは控えめで今でこそ結構ベタなチェイスや爆破やアクションが多い。

その中で007の真髄と、金持ち悪徳実業家の金にモノ言わす力との対決に持ち込んでいく。
どっちも諦めの悪いしぶとい男。
一方は百戦錬磨の“殺しのライセンス”。
もう一方は手段を選ばない残忍非道な成金実業家。

ボンドガールもいるけど、今回は1人に特化し過ぎず、ロジャームーア“ボンド”の女たらしさも全開。いろんなタイプの女性がボンドと、、、。
その末の黒人女性“メイデイ”との“共闘”な何かグッときた。

“殺しのライセンス”の緊張感と、そこからくる男の魅力。どうやったらこんな職業になれるのか。

次はどんなボンドが観れるか。
楽しみでありつつ、ロジャームーアが名残惜しい。ホントにやる時はやる、そして抜くところは抜く、マジカッコいい。


F:1889
M:3342
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