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007/美しき獲物たちのmimagordonのレビュー・感想・評価

007/美しき獲物たち(1985年製作の映画)
4.8
ロジャー・ムーア、有終の美。ムーア・ボンド史上最もシリアスでハードなアクションが満載。そして最も「スパイ」している作品でもある。ゾリンの陰謀に少しずつ迫っていくスリルはアクションのそれとはまた違うサスペンスを楽しめる。そのゾリンを演じたクリストファー・ウォーケンのキレまくりな悪役はこれまでのどのボンド映画のヴィランとも違う狂気をもっていてインパクトは抜群。グレース・ジョーンズ演じるメイ・デイの可憐さと強さもこれまでのボンド・ガールのイメージを覆す名演。アクションもアバンタイトルのスキーからこれまでとは違う肉体的な方向性を示唆していて、クライマックス炭鉱からゴールデンゲート・ブリッジに至るまでのスペクタクルとスリルは迫力満点でつい画面に身を乗り出してしまった。ムーア・ボンド作品の中では総じてあまり評価がよくないようだけれど、ショーン・コネリーやジョージ・レーゼンビーの頃より予算も増えてド派手な展開が売りとなったムーア・ボンド作品において、まさに美しく007としての役目を終えた傑作だと思う。デュラン・デュランの主題歌も最高。
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