taka

ジャズ・ロフトのtakaのレビュー・感想・評価

ジャズ・ロフト(2015年製作の映画)
4.5
MINAMATA でユージンに興味を持った自分にとって最高の作品でした!
ジョニーデップの再現度が高かったことに驚く

いわゆる音楽ドキュメンタリーという側面はあまり大きくなく、あくまで写真家ユージン・スミスと彼の素材が主軸の作品
ユージンはあまり主張せず溶け込んでいたことから、彼自身は少しの写真とテープの肉声でしか登場しない
バックで流れるジャズは当時ユージンが聴きながら仕事をしていたであろうBGMの様な趣きで、ジャズパート〜ユージンパートと交互にエピソードが語られる

ユージンは仕事への妥協が無く一枚の写真を絵画的に仕上げるこだわり様に驚く
その資質が編集部との衝突も生むけれど、彼の写真は負の題材であっても大変美しく、だからこそ見る者の心に訴えてくる

彼のこだわりは音楽への愛にも発揮される
最新の録音機材調達に余念が無くあらゆる所にマイクを仕掛け、当時先端のジャズシーンの次々を記録し続けたのだ
こうしてそれらの音源と写真が陽の目を見、作品となったことにも感謝したい(相当な労力と時間がかかったことだろう)

そのロフトへ出入りしていた人達にも驚く
モンク、ダリなどの画家、写真家、現代音楽家スティーブライヒにエルヴィンジョーンズの名も
数フロアで行われたセッションは、無名であってもトップレベルのアーティスト達が互いに切磋琢磨していたのだろう
と同時に、レスターヤングらと共演した若いドラマーは精神を病み故郷に帰ることや、酒やドラッグが蔓延していたことなど陰の部分も存在した


ユージンスミスは人として完璧ではないかもしれないけれど、音楽を愛した素晴らしい報道カメラマンであるのは事実だし、彼が現場で体感し残した写真をもっと見届けたいと思う

もうすぐ配信が始まるかもだけど、情報量が多いこの作品を雰囲気の良いミニシアターで体感出来たことは大変嬉しい
taka

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