幽斎

ラスト・パーティー LAST PARTYの幽斎のレビュー・感想・評価

3.4
発売元アメイジングD.C.曰く「スロベニアの映画祭グロスマンファンタスティックフェスティバルで2018年Best Feature Filmにノミネート。翌年にもRomy Galaでシネマグラフィー賞にノミネート」だそうです。

本作はインディーズ作品で皆さんが日頃見てる作品より、製作費が大幅に少ない。オーストラリアの映画と言えば歴史モノが多いが、イギリス文化を色濃く反映してる割には、ミステリー系の作品は少ない。ホラーまで範囲を広げても数は限られる。

理由はオーストラリアの映画は、テレビに依存してる事。もう1つは。スポンサーが少ない事。アメリカ同様に日本も「ほん呪」とか独自路線でレンタルを回せるだけの分母と分子が有る。オーストラリアで、低予算で創れるホラーを製作する人材が出て来た事を先ずは喜びたい。本作はエナジードリンク大手、レッドブルのサンクス協賛。何で?(笑)。

監督が告白してるが作品は「ラスト・サマー」へのリスペクト。オリジナルは1997年、ラスト・サマーが創られた頃と言えば「スクリーム」とか「ルール」とか、私のスリラーの範疇「ワイルド・シングス」など、第2次スリラー・ブームが到来。ラストで引っ繰り返せば良かったが、時代はモダン・スリラーへ。今更感は否定できない。

捻りが無いラスト・サマーを復活させても、凡庸なホラーにしか為らないのは見なくても分る。本作ならではのオリジナリティが有れば良いが、プロットをトレースしただけでは、劣化コピーにしか為らない。せめてオーストラリアらしい何かが有れば良いが、そもそもオーストラリアらしさって?と簡単に行き詰まる。オーストラリアでの原題「Die Ietzte Party deines Lebens」意味は貴方の人生の最後のパーティー。

殺戮シーンに工夫が全くないのも低予算を言い訳にするのは苦しい。パーティーの割には殺される人数も少なしい、描写が派手な訳でもない。シンプルにアホな若者がヤラレるだけなのに、殺し方に個性が有れば面白いが、ソレも無い。ホラー映画と言うのは、意外と登場人物の説明がしっかり成されないと、殺された時の共感性が無くなるので、その点も不足してる。肝心な犯人の動機も時代遅れ、殺し方に面白みもなく見所も丸で無い。

潔く全員殺せば良いのに、予算不足なのか結構な数が生き残る。ラストを見ても残尿感しか残らないが、肝心の2人が生き残るのが、まるで意味が分らない。しかも、意外な人物が晒し者にされて終わるのは、全く理解できない。その演出でブラック感を出したと言うなら、アメリカで全く無名のDominik Hartl監督は、もう一度映画学校へ行き直すべき。業界人しか知らないコンペで評価されたと良い気に為ってるとしたら、とんだお門違い。

アマブラのホラーより、マシかな?程度。オーストラリアの珍味、試したい方は自己責任で。
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