幽斎

DASHCAM ダッシュカムの幽斎のレビュー・感想・評価

DASHCAM ダッシュカム(2021年製作の映画)
2.0
【幽斎的2023スリラー部門ワースト1位作品】
新人発掘の精神を捨て他人の褌で相撲を取るオリジナリティ ナッシングで、本国アメリカではイメージの凋落が半端無いBlumhouse Productionsが制作して案の定、物議を醸したスクリーンライフ スリラー。Tジョイ京都で鑑賞。

アメリカではScreenlifeが正しいが、日本ではPoint of View主観ショットと、モキュメンタリ―のFound footageを混同するケースも多い。元祖はイタリア映画「食人族」父親世代は未だ本物と信じてる方も。20年後「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」エポックメイキングなスリラーとして一世を風靡したが、その一年前に制作されたレビュー済「ジャージー・デビル・プロジェクト」近代モキュメンタリ―の原点にして元祖。

私の一つ上の世代は「REC/レック」「パラノーマル・アクティビティ」「V/H/S シンドローム」ネタは尽きたと思ったら、レビュー済「アンフレンデッド」デジタルスリラーと言う、デバイスの進化で映画も変わる。ソレをパクったのが「search/サーチ」。スマホの登場で全てレビュー済「シーフォーミー」「スプリー」「#フォロー・ミー」プラットフォームの進化で迷惑系YouTuber。俳優の要らないVtuber。ソレが映画かと言えば映画こそオワコンかもしれない。日本のニコニコ動画、やってイケんのかな?。

原題「Dashcam」車のダッシュボードのカメラ、コレも既に前例が在りレビュー済「ナイトライド 時間は嗤う」車外の映像を巧みにスリラーに昇華。日本ではドラレコの言い方が一般的だが、本作はiPhoneで撮影のライヴストリーミング。主演Annie Hardyの本業はインディーズ ロックバンド「Giant Drag」シンガー。彼女は視聴者の前で曲のアイデアを練りながら、ドライブ中に曲を披露するYouTuberが元ネタ。

レビュー済「ズーム/見えない参加者」「ブギーマン」Rob Savage監督が、Hardyのコンセプトが優れたファウンド フッテージに成ると、ジョイントで映画製作。Hardyが主演も務め、当初は配信映画としてタイトル「Band Car」制作予定が、噂を聞いたネタ枯れに困るJason Blumが「何ソレ、もっと〇〇とか出したら面白いじゃん!」ブラムハウス製作に格上げ。隠しても意味無いけど、アメリカでは記録的な酷評の嵐。

Rottentomatoesも34%と全く宣伝に使えないが、低評価は逆に信用出来る(笑)。批評家は好意的だが、視聴者はAnnie Hardyに全く共感できないと、メタスコアを一方的に下げた。アメリカの劇場ではヤジも凄かったらしい。本作も「M3GAN ミーガン」レビューで触れた様に、Blumが当初とは似ても似つかぬ代物にした事は容易に想像出来る。M3GANの1stエディションは初代「ターミネーター」顔負けのホラーらしい。

COVIDで下ネタや人種差別を含むラップでリスナーを楽しませるライブ配信が、音楽仲間へのドッキリを皮切りにスーパーナチュラルな「アレ」、ソレを捕まえるグループの争いに巻き込まれる。傍若無人なアニーは、同調圧力の強いイギリスのロックダウンに対するストレス発散が狙い。「ズーム/見えない参加者」地続きとも言えるが、スカッとジャパン的なストレス発散には・・・為らんか(笑)。

モンスターAngelaの怖さより、Hardyの孤立無援の奮闘が、歌手を起用した監督の意図も見事に反映、極限でもラップをする不屈の精神に共感する方が居る?(笑)。Blumが絡む事で恐怖描写が儲け主義で消される寸前で「R」指定を維持したのはイギリス映画の気骨の表れ。POVは医学的には視覚で認識する映像と平衡感覚を司る三半規管で感じる情報のズレで「Motion Sickness」動揺病に襲われる。POVが好きだけどダメな方は疾患では有るが「船酔い」深刻に考える必要は無いので安心して下さい。

モキュメンタリーの哀しい性で、何が起こってるのか激しく分り難い。Blumが求めた臨場感よりも、監督の「ズーム/見えない参加者」落ち着いたカメラで事象を捉えた方が面白く出来た筈。「パラノーマル・アクティビティ」定点カメラの様に、ドラレコの映像だけで傑作が出来る可能性も感じた。配信の左のコメント欄も芸が細かくて結構笑える。字幕も吹替えも全く追い付かない、不謹慎のオンパレード。COVIDを「あの頃は大変だった」回想するにはチト早いが、振り返る意味でも見る価値有る?、無いね(笑)。

テリファー以上の衝撃なので、劇場よりもスマホで見た方が良いかも、色んな意味で。

ラッパー+人間のクズ+超迷惑YouTuberな女VSモンスターのくせにクソを漏らす+宙に浮く+咬み付くの三連コンボ同志の汚物パニック超大作!。言葉が下品過ぎて耳が腐る。正視に耐えない映像に目も痛い。Tジョイ京都で吐いた人も居たとX(Twitter)で見た。私はどんな不条理にも耐える神経の持ち主だが「下品」だけは絶対に許せない。なんて、感想を呟いてるもう一人の私が居ます(笑)。
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