映画武士道

セブンソード 黄泉がえりの七情花の映画武士道のレビュー・感想・評価

2.9
結論としては武侠もの初心者や全く触れてない人が見る入門お試しとしてはアリ。
でも本格武侠ものを見ていると物足りないし、展開が微妙なのでお金を払って見るのはお勧めしない。

数十年、中華圏で流行している武侠もの作品です。
武侠ものとは:時代劇+ヤクザが良く出てくるのでVシネ+北斗の拳(北斗神拳や南斗聖拳のようなオカルトちっくな技を使う武術もの。セイントセイヤや漫画ブリーチの護廷十三隊隊長みたいな技がたくさん出てくる)+ファンタジー

という要素が入った作品です。
有名なところでは金庸先生の作品があります。
私は金庸作品が大好きなのですがそのほかの武侠ものはイマイチなんですよね。
金庸作品は司馬遼太郎作品のように史実と創作をうまく混ぜてストーリーを作るので史実の有名人(乾隆帝とか洪武帝・康熙帝・岳飛将軍などなど)が主人公と直接絡んだりストーリーに絡んで来たりするので歴史好きだと盛り上がりが違います。金庸先生は歴史をかなり勉強してる感がありました。

問題は金庸作品以外なのですがちょっと底が浅い感じがするんですよね。
まず時代劇ものという共通点はありますが、ちゃんと史実に絡めない。史実を調べない。ことが多くかなり見劣りします。

最近の武侠ものはさらにその傾向が強くなってる感じ。(製作者が武侠もののゲームをして育ったせいでしょうか。ゲーム設定感が強くなってる)
それでも時代劇Vシネ+北斗の拳風のマジカル武道アクションとファンタジーの要素があるのでそこそこは楽しめる。という感じ。

ストーリーとして過去の記憶を失い不治の病に侵されている主人公(これも武侠ものでありがち設定)が命の恩人の美人女医さんとともに不治の病を治せる上に天下無敵の武術を手に入れられるという伝説の花(これも武侠ものでかなりアリガチ設定。天下を制することができる伝説の武器や秘伝書を求めて争う)を探すストーリー。

その過程で名門正派(正統派武術流派。朝廷とつながりがあることが多い。基本真面目な人が多い。中には悪人もいます)の人と仲間になり一緒に旅を続ける。

その過程で敵として現れるのが邪派集団(邪流の武術集団でオカルト宗教団体だったりする非道な行為を行う人が多い。中にはいい人もいる。朝廷と敵対していることが多い)の女幹部。この幹部も邪派のリーダーの命令を受けて天下無敵の武術を身につけられるという伝説の花を探している。(ただしこの女幹部も伝説の花をゲットして邪派のリーダーを倒してトップに立つという野望を持っている)

この敵がめちゃくちゃ強い。金庸作品で言うところの吸星大法(敵の内力を吸い取ってその上相手を殺す必殺技。敵の力を吸収できるので強くなれる)や九陰白骨爪(わかりやすくいえば超強力アイアンクロー。相手の頭を掴むと一瞬で相手は死亡する必殺技)を使う敵。
この辺りは北斗の拳とか好きな人はすげえ技だ!tueeeee!と素直に興奮できると思います。

主人公は記憶を失ってるのになぜか強い。さらに記憶を失う前から持ってるという剣がかなり有名な伝説の武器らしい。
その武器から主人公は実は伝説の花を守る武術集団の統領の息子だと判明、父親と義理の父(作中の説明ではこの関係がようわからない)が殺し合いをしているところを幼少期に見てしまった上にそれを止めようと間に入ろうとするのを止めた美人女医の父(女医さんは命の恩人という設定だったけど幼少期からの家族ぐるみの付き合いだったの?だったら女医さんは主人公の身の上知ってたの?なんで主人公の身の上が謎だったの?)を突き飛ばして崖から落してしまったショックで不治の病(精神病だったのか)にかかってしまったらしい。
このあたりの展開や設定に無理がある感じ。萎える。

そしてめちゃ強い女幹部にやられそうになったとこに唐突に現れる敵の女幹部よりさらにめちゃ強い謎の男!(相当怪しい)彼の正体は何者なのか?そして目的は?

さらにラストの決戦でこの瞬間をずっと待っていた!と、唐突に助けに現れる主人公が幼少期に殺してしまったという女医の父(生きてたのか!主人公の幼少期からずっとここに潜んでいたの?娘の女医さんをずっとほったらかして?帰ってやれよ・・・)
このあたりの展開は無茶すぎ。


とにかく酷い・・・なんだこのストーリー展開・・・
伝説の花もちゃちなCGでかなり悲しい気持ちにさせてくれます。

でも腐っても武侠ものなのでそれなりに楽しめる。宝探しやら北斗の拳のようなマジカル武術の派手なアクション。これらは悪くないですね!

レンタルとかでお金を払って見るのは絶対に勧めないですが、配信サイトでもし無料で見れるような機会があったら北斗の拳とか好きな方はそれなりにアクションシーンだけは楽しめると思います。
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