ちゅにちゃん

ONODA 一万夜を越えてのちゅにちゃんのレビュー・感想・評価

ONODA 一万夜を越えて(2021年製作の映画)
3.0
日本の敗戦を知らず、1974年に日本へ帰還するまでフィリピンのルバング島で戦争を続けていた小野田寬郎少尉の実話。陸軍中野学校で秘密教育を徹底的に叩き込まれ、天皇に絶対的な忠誠を誓わされた人間の悲劇が見事なまでに良く描かれている。若い時に受けた教育は一生涯体から離れず、人間性をも破壊するほどの力を持つ。教育を通して国民をコントロールしようとした国家の残忍さが恐ろしほど伝わってくる。大東亜共栄圏を確立するためにアジアを侵略し、世界を相手に戦った第二次世界大戦は果たしてどれだけの意味があったのか。小野田少尉が無駄に費やした30年はもう二度と戻って来ない。終戦から76年。軍国主義が引き起こした暗黒の時代を再び繰り返さぬためにも小野田少尉の半生を振り返る意義は大きい。