マインド亀

ガンパウダー・ミルクシェイクのマインド亀のレビュー・感想・評価

4.0
タランティーノ絶賛!世界中に広がり続ける殺し屋ムービー、シスターフッド感が最高!

●今や日本も含め全世界的に一大ジャンルとなりつつある、ジョン・ウィック系「殺し屋オンリーワールド」ムービー。もうこの手のジャンルはだいたい条件は色々と決まっていて、
・ビジネス殺し屋会社
・完全中立地帯の店(もしくはホテル)など
・対立組織
・武器の購入は一般的な店や公共施設にカモフラージュ
・武器選びはコンシェルジュと気の利いたトークで
・警察の居ない世界
・だいたい主人公が禁忌を破り、組織に追われる
・守るものがいる

てな具合でパターンは大まかなルールは決まっているのですが、それでもなぜかだいたい面白いんですよね。
また、バリエーションが増えてて、派生したものの中から「母親が殺し屋」系も流行りの一つ。Netflixでは『キルボクスン』とか『ハイフォン ママは元ギャング』とかその他モロモロ確認ができるジャンル。
で、その中でも本作の特徴は、母娘が殺し屋というところでそこからさらにシスターフッドものとして完全に女VS男という割り切りの良さを見せております。

●女性の行うアクションはやはりスタントを多様せねばならず、アクションは細かいカット割りやスローモーション、早送りなどに頼りがちでだいたい面白くないことが多いのですが(橋本環奈の『バイオレンスアクション』はドイヒー)、本作はその一つ一つにワンアイデアが凝らされててとても面白いかったです。やっぱり、ジャッキー的な、武器じゃないものを使ったアクション、金の延棒とかボーリングの球とか、も面白かったし(ちなみにリアルであの大きさの金の延棒は重すぎて両手でも持てませんね)、両手が麻痺状態でプランプランさせながらの格闘、二人羽織のカーチェイスとか、フレッシュで観客を飽きさせないアクションがてんこ盛りですし、何よりスタントでも自然な見せ方が出来ててめちゃくちゃ良かったです。

●今やアカデミー賞女優のミシェル・ヨーはアクション本域の人として素晴らしくかっこよかったし、敵のエド・バーチはニヤニヤしててなに考えてるのかわからないところが個性的でイイ!あと、3バカトリオが何より一番個性的で愉快で楽しかった!

●本作の監督、ナボット・パプシャド監督は、クエンティン・タランティーノから絶賛を受けているそうで、そんなことを知らずに観ていたときから、タランティーノ味が強いなあと思っておりました。特にファッションセンスとか、音楽使いとか、クラッシックな字体の使い方とか、セリフのセンスとか…本作を観ていると、何となくですよ?何となくですが、同時期に作られた殺し屋映画の『ブレット・トレイン』が目指していたタランティーノ味が、本作のほうが正解だった気がします。さすが本人からのお墨付き。タランティーノはシスターフッドものは好きそうだし、『ブレット・トレイン』は女性キャラの扱い方が本当に最悪だったしなあ…
ファッションの話で言うと、マデレーンの60年代スタイルは良かったですなあ。

●細かいことを書くようですが、いまいち「ダイナー」のルールが、あやふやだったのが心残りでした。武器を没収する中立地帯だったんじゃないの?だとしたらラストの展開にはペナルティが必要だったんじゃないの?あのウェイトレスもどこいったん?
また、あまりにも女性VS男性の構図をはっきりとしすぎてたのも、数年前の映画って感じでしたね。ここんところの『ウーマントーキング 』や『バービー』を観ていると「男性のマチズモからの開放」を描いた映画が多いので、次作では女性をサポートする男性を登場させてもいいかなぁと思いました。
しかしながら総じて、アクションはユニークでトークも面白く、ウェットになりすぎないのもイイ!スッキリと観られる映画なので、損はさせませんよ!ってな感じで是非観てほしい一作です。
マインド亀

マインド亀