なつこ

すべてうまくいきますようにのなつこのレビュー・感想・評価

3.9
尊厳死を扱う作品も増えましたよね。
医療が進歩したことで、尊厳死を望む人が増えてるなんて、皮肉だなと思う。

「生きるのと延命は違う」
サラッと言ってたけど、その通りかもしれないと思ってしまう。

スイスに行く話が動き出してから、パパは寝たきりから椅子に座れるようになり、自分で水も飲めるようになり、レストランで楽しくディナーを出来るまでなった。

だったら死ぬ必要ないじゃん!と周りは思うけど、パパが元気になったのは、生きる目標が出来たからだ。
スイスで死ぬという目標が。

パパが旅行に行く子供みたいに、嬉しくてみんなに話しちゃうから、計画はスムーズに行かなくて、娘たちは右往左往する。
それも含めて、パパは楽しかったんだと思う。

倒れてから転院するまでの期間、あそこまで絶望したら、そのテンションのまま最期を迎えそうな気がするけど、パパは違った。
自分に絶望し涙を流していたどん底メンタルから、最後の「生きる楽しみ」を見つけ出したのだから。
最後まで生きることを愛し、楽しんだ人。
凄いことだし、誰でも真似できる事ではない。

ここから下はネタバレと感じる方もいるかもしれないので、一応スペースあけます💦


















そんなパパと対照的な人が2人出てくる。
1人目は最初の病院で同室だった男性。
パパが転院する日に、もうすぐ家に帰れると言いながら、あまり嬉しそうには見えなかった。
そして、パパのことを「幸運だ」と言う。「あなたが娘で」と。
そういえば、姉妹で頻繁にパパの見舞いに行っていたが、彼のところには誰もお見舞いに来ていなかった…。

2人目はママ。
パパ曰く「セメントの心の女」。
病気のせいもあるけど、何を言っても不機嫌そうに、光のない死んだような目をしている。
ただ1度だけエマニュエルが「どうしてパパと別れなかったの?」と聞いた時、あの時だけは目に光がさして表情を取り戻した。
その答えも含めて、作中では描かれてない彼女の半生を想い、なんだか胸が苦しくなった。

ダラダラと、とりとめのない感想ですみません。このテーマについては、どんだけ考えても纏まらないです。
娘としても、当事者としても、他人事ではないから。

ふと、昔「潜水服は蝶の夢を見る」という作品を観て、私だったらこの状況て生きていたくない!と強烈に感じたのを思い出しました。
なつこ

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