のんのん

すべてうまくいきますようにののんのんのネタバレレビュー・内容・結末

3.8

このレビューはネタバレを含みます

ソフィーマルソーの父親が脳卒中になる。この父親、自分の言いたい放題、やりたい放題に生きてきた、しかし魅力的な芸術家だったのだと思われる。

ソフィーマルソーの父親と母親は不仲。母親役は有名な女優。なにで観たのか分からないが、よく知ってる女優だった。

さて、父親が倒れたのが85歳。あと少しなんだから生き抜けばいいじゃないかと思う人もいますわね。

でもこの父親は「簡単な日常生活もできない体で、こんなの自分じゃない!」と現実を受け入れられず、安楽死を望む。尊厳死でもなく、安楽死ね。

安楽死って簡単じゃないのね。日本と同様、フランスでも認められていないらしいので、この父親も、世界中の多くの人と同じように、スイスでの安楽死を選択した。

それもいけないの?と不思議に思ってしまった。スイスで死ぬのも簡単にはいかないのだ。個人の自由じゃないわけ?!

それに関わった周りの人が、逮捕されるかもしれないとかなんとかで、警察がやってきたりしちゃうのだ。

だから、周りに内緒で決行しなければいけないのだ。しかしこの父親、周りに「やぁ!安楽死するよ!」と、ペラペラ喋ってしまう。娘たちに喋りすぎだと怒られるぐらい。

日本もそうなの?NHKだったかな?スイスで安楽死した人のドキュメンタリーを見て、わたしはひどく泣いたことがあるが、警察が出てきたりしたか?

まあいい。フランスに戻る。

このお父さんは安楽死を暗く考えているわけではなく、自分の納得のいく美しい人生を歩んだし、もう思い残すことも無いし、この不自由な体で生きていくのはプライドも許さないし、前向き安楽死なのですよ。

「みんな!さようなら!わたしは先に天国にいきますわ!」ってな気持ちで周りにご挨拶してただけだと思うのだ。

そりゃ残される家族はどんな父親でも悲しいに決まっているが、わたくしはこの父親の気持ちがすごくわかった。

自分勝手にさせてよ!って思う。家族のためにこんな体で生きればいいわけ?内臓が丈夫だとしたらあと何年も生きなきゃいけないのだぞ。やだぁ。

もうこの辺でさようならーって自分で決めることの、なにがいけないってのよ!

この父親はホモセクシャルだったとか、男の恋人が現れて、高級腕時計を父親から貰って帰ったとか、それ、この映画に必要だったか?とちょっと分からないところもあった。別にいいけど。

なんにせよ、この父親は幸せな人生だったくせに、死ぬときまでわがままだなぁと感じて、不愉快に思う人もいるかもね。

なんせ、安楽死を希望してからも、孫の演奏会行ったりオシャレしてレストラン行ったりしちゃいますのよね。(知らないうちに自分で食べたり液体飲んだりできるようになっていた!ちょっと違和感!)

この父親はちょっと恵まれているかも。

ならば末期がんで痛みのコントロールができない状態になったらどうすればいいのよ!それでも死を望んじゃいけないかよ!

ならば、ならば、ジョニーは戦場へ行ったみたいな体になったらどうするのよーーー!!それを考えると、まじで心臓ドキドキ、スイスで安楽死できるお金を貯めておかなきゃ!と強く思う。ジョニーよ、あんなに怖い映画、知りたくなかった。

どんな人生だったにしろ、わがままに見えるこの父親にしろ、自分で安楽死を希望するのが、何故そんなにいけないことなのかわたくしにはサッパリわからない。家族のため?

日本も安楽死認めてくれ!切に願いますわー。(もちろん、厳密な審査は必要ですけれどね。)

ま、でも、裕福じゃなければ安楽死もできないか。苦しい。とどのつまり、お金かよ!!

映画は、、、ソフィーマルソーから目を離せない。憧れの人は年を取っても憧れなのですね。

あ!!ゴダールも安楽死じゃないかよ!
のんのん

のんのん