春

すべてうまくいきますようにの春のネタバレレビュー・内容・結末

4.5

このレビューはネタバレを含みます

ずっと待ち侘びていた映画。
後半は、逝去した祖父を重ねてしまい泣きっぱなしでした。


文化も芸術も楽しめず、思うように動かない体のまま生かされる事を拒み、安楽死を望む父。
父の望みを、死を受け入れられず葛藤する娘たち。
『終わらせてくれ』と何度も頼む父の姿が、どうしようもなく心を締め付ける。

救急車で搬送される父との最後の別れ。
閉まるドアと、残された娘の気持ちを思うと、涙が止まらなかった。


〜以下は自分語りです。

私の祖父は、昨年自宅で老衰した。
自分の意見を曲げない、いわゆる”頑固ジジイ”で、家族からは厄介者扱いされていた。

世界や日本の歴史を愛する人で、書斎には足の踏み場が無いほど本が並んでいた。
孫には優しく、歴史の話をするといつも頬が緩む人だった。

晩年は体力も落ち、寝たきりの日々が続いていた。
そんな祖父との最後のお別れ、棺桶に数冊の歴史書を添えて見送った事を思い出した。別れは寂しい。今でも寂しいが、今作を鑑賞し、思い出の中の祖父とまた会えた。ありがとう。
そんな気持ちで映画館を出ました。


映画館について:Strangerさん
ミニシアターなのですが、他のお客さんがいる事を忘れてしまう程没入出来る空間でした。
隣のお姉さんが鼻をすする音で、あ、映画館にいたんだった。と思い出す程、映画対個人でいられる場所です。
スタッフさんの応対もとても心地良く、また映画を見に行きたい。
春