若大将オーウェン

英雄の証明の若大将オーウェンのレビュー・感想・評価

英雄の証明(2021年製作の映画)
4.0
見ている間、うわぁ…とどんどん眉間に皺が寄っていく映画で面白かった

ストーリーは誰にでも分かる単純明快なものでありながら、人間関係や小さな嘘、当人の間では包括されていたことが、他人が情報として見ると齟齬が生じてしまう…パズルのようなストーリーテリングが面白い!

主人公の行動は理解できるけれども「悪い予感がするぜ」の連続で、どんどん追い詰められていく主人公に世知辛い世の中だとげんなりしました

ただ僕も友人に金を貸して返してもらえなかった経験があるので、金を貸してるおじさんの腹立つ気持ちがすげぇ分かった

チャリティー団体はすぐ手のひら返しそうだなと言うのも分かってずーっと嫌だった

ハリウッドの感動作とかだと主人公が最後大逆転する展開になると思いますし、

レビューにも散見されるが、主人公が立派で清廉潔白なだけの人物だったら、観客はとても簡単に感情移入して物語をある意味楽しむことが出来たでしょう

当然そんな安易なポジションには置かせてくれないファルハディ。だからこそこの映画は面白いと言えます

ラスト、同じ画面に開かれた扉とガラス越しの部屋を映し2つの世界を対比させる見事なショット

微かではあるけれど、希望を描いているとは思うけど、見た時期もあるのかげんなり感の方が大きかった

正しいだけの人なんていないし、誰でも間違う。そんな当たり前のことが現代ではどう扱われるのかを描いた傑作