しらいし

ニトラム/NITRAMのしらいしのネタバレレビュー・内容・結末

ニトラム/NITRAM(2021年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

波の音、鳥の鳴き声、人々の声だけでみせるエンドロール。音楽を流さないという選択は映画として素晴らしかったと思う。


事件を起こすことを分かった状態で観てるから、幸せそうに見えるシーンで、この幸せが続かないんだって思ってしまって泣いた。
母親に「あなたの言っていることが分からない」みたいなことを言われるシーンが、個人的に身に覚えがあり過ぎて無理だった。

もしも彼のことをちゃんと名前で呼んでくれる人がいたら
事故が起きなかったら
お父さんの仕事がうまくいっていたら
サーフィンに夢中になれる環境だったら
彼の生まれた場所が銃社会じゃなかったら
何かが少しでも違ったら、
彼は事件を起こさなくて済んだだろうかと考えてしまう。

事件の悲惨さは、この映画には描かれていない。Wikipediaを読んだけど、ほんとうに惨い。
彼をここまで追い詰めた「モノ」に、自分は加担していないと言い切れるだろうかと考える。

それにしてもヘレンが報われない。
彼女は、文化芸術が心を救ってくれることを教えてくれた人だった。

あと、結構な頻度で虫の羽音がするのが大変不愉快でした(素晴らしい演出でした)。
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