りょう

インフル病みのペトロフ家のりょうのレビュー・感想・評価

インフル病みのペトロフ家(2021年製作の映画)
3.6
 噂どおりの難解映画でした。それぞれの場面の出来事は理解できますが、物語に起承転結がなく、冒頭からエンディングにかけて、なにをどう解釈していいのかわかりません。
 ただ、映像的な仕掛けが多種多様で飽きることはなかったです。前半に登場する超長回しのシーンは、最後にあんな展開が用意されているのに、よくも挑戦したもんだなと感心しました。ワンカットなのに場面が転換していたり、ペトロフの幼少期の記憶がPOV風の映像になっていますが、何回か自分の姿が鏡にうつります。どうやって撮影したのか素人にはわかりません。かなり見応えのある映像が少なくありませんでした。
 ペトロフが幼少期に出会う雪むすめを演じていたマリーナの物語は、それまでの混沌とした映像から一転して、モノクロの落ちついた雰囲気が心地よかったです。彼女の目をとおした男性が一時的に全裸になるなど、奇抜な表現はありますが、彼女の物語だけで構成した作品を観たいと思いました。女優さんがとても綺麗だったという理由もあります。
 やっぱりソ連もロシアも特殊な国家体制で、国民の思想や価値観も日本人には理解できないのかもしれません。現在の独裁体制も打倒される気配すらありませんが、このままでは映画を含めた芸術分野の衰退も懸念されます。
りょう

りょう