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Lingui(原題)
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『Lingui(原題)』に投稿された感想・評価

[チャド、聖なる連帯] 60点

2021年カンヌ映画祭コンペ部門選出作品。マハマト=サレ・ハルーンは今回で三回目の選出となる。本作品は国家と宗教によって二重に中絶が禁じられた国で、中絶を試みる15歳の少女マリアの物語である。しかし、原題"Lingui"及び英語副題"聖なる絆"の示す通り、本作品は制度自体ではなく、それを前にした人々の共助連帯を描いている。全体的な描写がドライで静かなのも相まって、少々やりすぎなくらい敵と味方がすっぱり分かれ、敵はストレートに嫌なことをしてきて、味方もストレートに助けて終結するので、連帯そのものを重要視して描いている感じもあまりしない。それに加えて、本作品のドライさの中には投げやり感も若干含まれている気がして、例えばマリアの自殺未遂の描写なんかはクリシェ踏まないと!という態度が画面から伝わってくる。本作品のストレートすぎる映像表現には、同じ年のコンペに並んだショーン・ペン『Flag Day』を思い出すなどしたが、まだあちらの方が伝えたいことに対して正直だった気がする。

本作品にも、エリザ・ヒットマン『Never Rarely Sometimes Always』やレイチェル・ゴールデンバーグ『Unpregnant』、セリーヌ・シアマ『燃ゆる女の肖像』と同じく、少女の堕胎を手助けする存在が登場するが、それは彼女の母親である。というか、そもそも主人公は母親なのだ。しかも、マリアと同じ境遇で学校を止めさせられ、家族からも見放され、たった一人で娘を育ててきたらしい。そんな過去を知っているからこそ余計にマリアは中絶を望み、母親も二つ返事で協力を申し出る。『Unpregnant』でも娘の中絶に理解を示す母親が登場したが、全てが終わった後だったことを考えると、母親が積極的に協力してくれるという作品は初めて見たかもしれない。また、後にアミナの妹ファンタも登場することで、女性の自己決定権についてBONDよりも一つ上のSACRED BOND、つまり家族の結びつきの観点で論じていくことになり、話題の中心がコチラにあったことを改めて提示する。

ドライすぎるせいで事実が勝手に歩いている感じがしてしまうが、ようやくラストで乾いた暴力が作風に呼応した緊張感を生み出してくれる。これがなかったらただ印象の薄い映画になってただろうし、ハルーンは最終的なこれが描きたかったんだろう。
2.5
【チャド、ここは弱肉強食なのさ...】
第74回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品されたチャド映画『Lingui,The Sacred Bonds』を観た。監督のマハマト=サレ・ハルーンは日本ではそこまで知名度ないのですが、カンヌ国際映画祭の常連監督となっている。本作は、望まぬ妊娠とチャド社会を描いた作品であり、いかにもパルム・ドールを狙いにいったような作品であったが、当時の星評は芳しくなかったと記憶している。実際に観てみると、歪な作品であった。

タイヤにナイフを入れ、引き裂いていく、中々分離できないタイヤ。ようやく、ワイヤのようなものを採取すると、作業場の全体が映し出される。そこには大量のタイヤがあり、いかに重労働かが分かる。そのタイヤから籠のようなものを作る。ある程度溜まったら街に繰り出す。道ゆく人に売るのだ。当然ながら値切り交渉がある。ここは弱肉強食の世界であり、人が交渉している中に平気で割り込んできたりする。例えば、同業者とイヤホンで音楽を聴き休憩をする場面がある。目の前に車が止まるので、すかさず一人が交渉する。「3000?2000なら買うよ。」「いや、3000じゃないと売らない」と綱引きしていると、もう一人が横入りしてきて、じゃあ私は2000で売るよと商売相手を横取りしてしまうのだ。そんな世界で生きる母アミナの娘マリアがある日、望まぬ妊娠をしてしまう。学校をやめることとなった彼女。アミナは過去の自分と照らし合わせて、マリアの中絶を助けることになる。

小津安二郎『東京暮色』のような冷たさと栄えの対比が特徴的な作品だ。学校関係のチャラいイベントにはどこか冷たい空気が流れており、学校をやめたマリアに対して噂話する声が不気味に広がっている。この宴に入れない空気感は、まさしく『東京暮色』の雀荘に近いだろう。

マハマト=サレ・ハルーンは『GriGris』同様、前半と後半で作風がガラリと変わる。望まぬ妊娠を扱った社会派ドラマからいっぺん、後半は不気味なサスペンスへと発展していく。半裸で銃を持った男が、ジワジワ追いかけてきたり、突発的で冷たい暴力が降りかかる。マハマト=サレ・ハルーンなりの『ブリュッセル1080、コメルス河畔通り23番地、ジャンヌ・ディエルマン』解釈ともとれるが、全体的にとっ散らかっていて、あまり良い作品とは思えなかった。
杏奈
3.5
悪くない