高卒派遣社員

パリ13区の高卒派遣社員のネタバレレビュー・内容・結末

パリ13区(2021年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

コールセンターで働く女性と学校教師の男性がルームシェアを始める。あっという間に肉体関係を持つが恋愛には発展しない。そして芽生え始めた友情(のようなもの)さえも壊れて別々の道を選ぶ。

叔父の不動産業を手伝っていた32歳の女性はこの年齢で大学へ入学する。少し周囲から浮いているが楽しいキャンパスライフが始まる予感がする。ある日金髪のウィッグをかぶりクラブに出かけると、「あなたのファンです」と名乗る男たちから写真を求められたり卑猥な言葉をかけられる。不愉快に感じてその場を立ち去るが、SNSには自分と瓜二つのカムガール(アダルトチャットの配信者)が拡散される。大学にもその写真が出回り退学を余儀なくされる。

女性3人+男1人の愛と性愛の物語がひたすら展開する。それぞれの人生が交差するいまこの時と、それぞれが抱えるお互いに知り得ない過去。まるで他愛もない会話をするがごとくにセックスをするので、真の意味で関係性が深まることもない(少なくとも終盤に至るまでは)。

作品情報を調べてみると元々この話はいくつかの短編だったものを映画として再構成しているようだ。確かに映画の始まったかなり早い段階でその空気感が醸し出されている。

個人的には自分と瓜二つのカムガールと出会ってしまった彼女が最後に迎える結末がとても好きだった。画面越しでしか会ったことのない彼女と彼女。この映画の中で最も非接触のコミュニケーションを続けてきた二人とも言える。彼女たちが初めて触れ合う瞬間こそが最も深く繋がりあっていたように思えた。
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