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パリ13区のyksijokiのレビュー・感想・評価

パリ13区(2021年製作の映画)
3.7
性愛と服従と満たされと。

それぞれの性愛と、そことは少し違った角度での本当の愛とが描かれていて、思っていたよりもしっかりしたストーリーではあった。色と愛と関係性さに欠けるグザヴィエドランみたいな印象。悪くないし面白いけど昼飯の後とかに見たら寝ちゃうタイプ。

出てくる人物たちの過半が性依存強めなのも中々だったけど、3人目としてのノラを際立たせる存在としては良かったのかもしれない。。

白黒で描かれるそういうシーンはなんか際立ってエロスを感じたし、色を脳内で保管しようとする分なんか不思議な感覚だった。

エロい目で見る、誘惑しようとする目、これがちょっと完全にずっとそれやんと思ってしまって以降はアイツを受け入れられなくなってしまった。何なんってなっちゃった感。

抱えてる過去とかトラウマ、家族との関係性を絶妙な余白を残してちょっとずつ描くのもなるほどねというふうに思った。逆に強く当たっちゃったり、抵抗できなくてトラウマになっちゃってたり、そういう部分をフラッシュバック的に描くのではなくフェードインしてくる感じで描いているのでそこは感情の琴線に触れかけてはきた。

モノクロの街や建物の外観は際立って素晴らしく見えたし、凝視して見ることによって発見も多くてよかった。マンションのガラスが連なるところとかそういう模様のように見える描写がとても印象に残った。 

ディーパンの闘いぶりのジャック・オディアール。セリーヌ・シアマとの共同脚本なのはたしかにという感じで、女性が感じている卑下をどう捉えてどうそこを昇華させるかをある女性で描き、逆に自らの性欲をエネルギーにしようとする女性も対比で描くことによる深みみたいなものは出てた。

誠実さに欠いた人が多めではあるのでその辺にちょっとイライラしちゃうと楽しめないかもだけど、映像の美しさと、そういうエロいシーンがよりエロく見える撮影技法と、シーンのつなぎ目の流暢さ、カメラワークのヌルヌルっとした良さとか、中々面白いなーと言うのは多くて面白かった。

キャスト★3.8
ストーリー★3.5
プロット★3.5
演出★3.5
映像★4.0
音楽★3.8
バイブス★3.5
全体★3.7
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