観た人の精神状態によって主人公が最悪か最高か見方が変わりそうだ。
選択肢が膨大になった現代で、それでも歳を重ねた女性が自然と選択肢を絞られていってしまうことで鬱屈し、微妙に地に足つけなくて起こしてしまう不安定な行動を、最悪の一言で丸め込めない感じがある。
主人公がこの手の人生選択に迷う系の映画にありがちな何をやってもダメダメで後がない感じではなくて、美人で教養もあってノリで書いた記事がネットでバズるようなセンスも持ち合わせている人物なのがよりややこしくしてると思う。
選択肢がありすぎて浮ついてるっていう贅沢な悩みには共感し辛いだろうけど、いつでも地に足つける人だからこそ、彼氏の成功や周囲からの妊娠を薦める声のような「現実」が強く突き刺さるんだろうなと思った。
特に妊娠のテーマは重く、女性にとって自分のやりたいことがあってもなくても、それ一つで人生の方向性を決定づけられてしまう要因であることを改めて感じさせられる。
男を取っ替え引っ替えしたり、知らん人のパーティに忍び込んだりやりたい放題したり、幻覚剤でラリったり、行動一つ一つは確かに最悪なのだけど、そこに至るまでの心理が丁寧に描かれていて、気付いたら妙に愛おしく感じてしまっていたのは自分だけだろうか。
心理描写も変に説明せず、彼女の表情から発信してくるのが凄い。
パーティ帰りの泣きそうな表情や、浮気相手を見つけた時の表情も良い。
特にクライマックスでの、とある人物との対話シーンで彼女が「あ、わたし最悪じゃん」となる表情が素晴らしかった。
笑える変なカットも多かったね。
排泄見せ合うシーンがお気に入り。
