さらしな

わたしは最悪。のさらしなのレビュー・感想・評価

わたしは最悪。(2021年製作の映画)
3.6
主人公のユリヤは、医大に入れるくらい頭が良くてしかも美人だが、色々なことに興味が移ってしまい長続きしない。30歳になっても本屋でバイトをしながら、40過ぎの漫画家の恋人と同棲している。この映画は、そんな彼女が、特別でないことを受け入れ、一人で生きていけるようになるまでを描いた作品だと思った。

ユリヤは、誰もが少なからず持っている「何者かになりたい」という願望と、現実の差をうまく受け入れられず、苦しむ。ヤケになって浮気まがいのことをしてみたり、恋人に当たってしまったり。
将来的に、子どもを産んで母になるような気がするけど、それは今じゃない。女性であることを楽しんでいるけど、不便さや理不尽さも感じている。母になることへの恐れは、単なる育児への不安だけでなく、平凡であることや、老いていくことへの恐れであるのかもしれない。

ユリヤの恋人が、おとなしそうな見た目で性格も穏やかな人なのに、彼の描く漫画はアングラで差別や下ネタ満載なのは、すごく示唆的な感じがする。
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