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コンパートメントNo.6のmasososoのレビュー・感想・評価

コンパートメントNo.6(2021年製作の映画)
4.0
極北のムルマンスク、ペトログリフを見るために旅に出るラウラ。
もともと恋人のイリーナとの旅のはずだったがイリーナに仕事が入ってドタキャン。ひとり旅に。
途中の電話でイリーナの気持ちがすでに離れていることがわかるのだが、仕事が入ったというのも方便でその頃からすでに関係は変わっていたのだろうなあ。
言葉にしなくてもわかる以前とは違う冷たい電話ってなんなんだろうね。心がキュッてなる。

コンパートメントno.6の同乗者は粗野なロシア人男性のリョーハ。初対面から酔っ払い無礼な振る舞いをするリョーハにうんざりのラウラ。最悪の出会いからスタートする典型的なボーイミーツガール。

リョーハは乱暴でガキくさい。
女性に下手な絡み方をしたりわかりやすい嫉妬をみせたり中学生かよ。と
リョーハの不器用な優しさに次第に心を開いていくラウラ。乱暴だけど無遠慮に踏み込んでくるぐらいの方が傷心のラウラには有り難かったのかもね。


でもリョーハってバカじゃない。
ラウラに求められた時も、穴を埋めるために使われるのを良しとしないで拒んだりね。それでも彼女のピンチには駆けつけるし、彼女の背中を押してくれる。老婦人が言ってたよな。「自分の心に従え」って。リョーハはラウラの心の案内人だった。

ラストもいいよね。さよならの言葉も無しの不器用な別れ。
一枚の紙切れに描かれた下手くそな絵と間違った「愛してる」(くたばれ)
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