みずちゃ先生

名探偵コナン ベイカー街の亡霊のみずちゃ先生のネタバレレビュー・内容・結末

4.7

このレビューはネタバレを含みます

コナン映画作品を全作品視聴済み(配信されていないものを除いて)

幼少の頃に何度か視聴済みであり、その中でも特に印象的で、20年越しに視聴しても色あせない名作です。

今となってはゲームの中に没入して五感を使って楽しめるという目新しさこそないものの、当時の衝撃は観ていた子供にとっては忘れられないだろう。
劇場6作品目となった今作品が一線を画しているのは、犯人の姿が視聴者には知らされているという魅せ方。トマスシンドラーについての推理まで作品の中に含めてしまうと、要素が多すぎて混乱してしまうため、その英断をより評価したい。現実世界で隠されていたのは凶器の一点であり、その部分だけで謎は十分だったのだ。

教育によって殺されてしまったヒロキとその意思を継ぐノアズアークという構造が見事。秀樹の身体を借りてゲームに参加したのは、ただ友達と遊びたかった、羨ましかったというのが切なすぎる。
本作品には名シーン足る名シーンが複数存在するが、止まらない列車の上で「立てよ眼鏡」とコナンを奮起させるシーンはあまりにも好きですね。

また、本作品は親世代から子世代のDNAがテーマになっていた。「教育」によって殺されたのがヒロキ君ならば、その「教育」によって未来を担っていくのが今の小中学生なのである。子供の頃にそこまで深入りして教育の重要性を理解することはできなかったが、改めて視聴したことでなるほどと納得できる映画になっていた。
ただ、その「血」についての話が今回のトマスシンドラーの動機そのものであるのだが、これは殺人の動機としてははっきり言って弱いと感じてしまった。もしかすると当時とは社会情勢が異なっているだけなのかもしれないが。


「じゃあ、撃てば?」
「お助けキャラが居ないなら私たちのホームズはあなた。」
「君を破滅させることができるなら、公共の利益のために喜んで死を受け入れよう。」
「お前にしては時間がかかったな」
各章で印象的な名シーンが描かれていることで、見終わった後の充実感も十分であり、劇場版コナンとして誰が見ても楽しめる名作。
みずちゃ先生

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