フィンランドでかもめ食堂を開く主人公と、目的もなく集まる女性たちの話。
知ってるようで実はあまり知らない、というセリフが、フィンランド料理とガッチャマンの全歌詞と、自分の欲望にかかっている。
確かに調べるとフィンランド料理はサーモンにトナカイの肉、シナモンロールと、かもめ食堂で提供する料理に出てくるものだが、言われてもパッと出てこない。ガッチャマンの歌詞も然り。
で、自分の欲望も知ってるようで知らない、という話になっていて、主人公は体が小さいからか、逆に丸々太った人や体格のいい人、そして、自分のにおい(価値観)に合う人が好きでその人たちだけに料理を提供したいのだ、という欲望を持っている(が映画ではっきりとは描かれない)
ガイドブック見て日本料理食べたい人や日本料理を寿司や日本酒だと思ってくる人はこの店のにおいと違う、レストランではなくふらっと気軽に寄れる食堂を目指している、という主人公のセリフがあり、これがまさに、食堂を開く理由としては、自分の料理を気に入る人だけ寄ってきてくれればOK、という意味だ。
で、これは映画の自己言及にもなっていて、映画サイトの評価を見て高評価だからとか、映画のわかりやすさ(アクションとか?)を求める人ではなく気軽に見ようと思ってこの映画を見て面白いと思ってくれる人にだけ伝わればいい、と意訳できる
距離感も適度な距離を保ちつつ、寄ってくる時はフラッと寄ってくればいい、という食堂のスタンスは、猫という動物にも表れており、主人公が飼っていた猫、最初の客のシャツのキャラ、最後に女性がもらう猫、と執拗に猫が出てくるのもそのためだろう
最後の晩餐で好きな人と好きなごはんを食べられればそれでいい、を、かもめ食堂で既に体現している主人公は幸せだ