無知A

かもめ食堂の無知Aのレビュー・感想・評価

かもめ食堂(2005年製作の映画)
4.4
先ず初めに、非常に難解である。無意識にも心に訴えかけてくれるが、想像を働かせ、積極的に余すことなく咀嚼したい作品である。グルメ映画、ほのぼの日常作品として片付けてしまうには勿体無い。

今回、レビューで触れたいと思う所は二つ。一つは、かもめ食堂という空間について。そして、日本らしさについて。

かもめ食堂は、非常に開放的だった。外へ呼び掛けることもなく、中に引き止めることもない。来る者拒まず去るもの追わずといった空間である。終盤のサチエさんのマサコさんに対する発言にも、ミドリさんに対する発言にもこれは見られた。入るのも出るのも自分の意思次第であり、理由をみつけるのも自分の意思である。猫の話は、ここに位置すると思われる。

他にもかもめ食堂独特の空気感はある。決して媚びずに、それぞれが持つ日本を出している。複数の日本が混在しているというのもかもめ食堂なのだと思う。

そもそも、日本らしさ、日本とは何なのかという話になるが、これは抽象的には直感であり、具体的な答えとしては無限にある。ただ、人は影響を与えたり与えられたりで全員変わり続けるので本当は日本らしさなんて無いのかもしれない。然し、食べ物や習慣など、日本が根底に眠っているからこそどんな形でも日本らしさを感じられるのだと思う。

以上が映画を通じて考えさせられた事。
無知A

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