このレビューはネタバレを含みます
20250318 自分用忘備録
自分はハイコンテクストな映画が好きだが、同じハイコンテクストでも、情報量の多いものに強く引き付けられ、そうでないものに対してはさほど魅力を感じないことが多い。
雑で図々しい、すり減ったおじさんなので、あまり細やかなものは向かないのだろう。味蕾の減った舌でご飯を食べるようなものか、濃くてしつこいものがいいのか、気の毒なものだ。
しかしこの映画には惹きつけられた。
丁寧に丹念にあくまでも静かに進んでいく。その人の危機にも悲しみにも、すぐ傍にいても触れることなどできはしない。ただ、感じ取ろうとすることができるだけだ。映画から、そういう他者性をあくまでも尊重したいという意思を感じとった。
図々しい踏み込みや、大雑把な噛み砕きや、分かりやすい共感を許さず、あくまでもただ、そこに内在している世界を描こうとする。
淡々としていて滋味深かった。よく噛んで味わいました。ごちそうさまでした。