春原さんのうたの作品情報・感想・評価

「春原さんのうた」に投稿された感想・評価

素敵な作品でした。

この監督の作品は初めて。なんとまぁ、説明がない作品。いえ、言葉じゃなく人々の日常を切り取った映像で豊かに豊かに説明しております。そのモザイク具合が絶妙なんでしょうね。冗長だと思わないし。感じないし。不思議だなぁ。

具体的なエピソードを描くわけではないのです。「?」なカットは多数だし、はて?はて?と置いてけぼりにならないよう映像とセリフ、人物の表情のピースを寄せ集めながら鑑賞です。でも、それが心地良いのです。

いつのまにか集中してるし(笑)めちゃくちゃ。あれ?僕、作品にドップリハマってる。

不思議なんだよなー、なんだろ?この感覚。ほんとに。最初は物悲しいんです。で、さっちゃんの髪の色みたいに次第に明るい感じになっていくんだよなー。

かなり計算された演出ではないでしょうか?素人ながら思います。唐突に登場する人物達がいい塩梅の伏線になってたり、人物浮き彫りにしたり。すごいなー。

それと演者さん達含めですが、演じてる感じしないんです。ドキュメントっぽい。見事なんだよな。だからこそ、その辺にある日常感あるし、故に淡々と積み重なることで妙に現実的な、説得力が生まれてくるし。

原作が、短歌って、、、すごいな。この映像のリズム、無駄がない感じ俳句いや、短歌き?、、、みたいな映画だったかも?無駄を削ぎ落として情景や心情そのものを描く、、、みたいな。

とにかく説明がない作品ですから、考えながら思い巡らしながら鑑賞するのが苦手な方にはオススメできないかなー。娯楽作品って感じじゃないです。
短歌や俳句を読んで情景や心情に想いを馳せ、想像ことがお好きな方にはオススメかな?

僕は考察好きで妄想好きですから、どストライクでした。もうちょい説明欲しかったかな?でも、優しくて温かい映画でした。
画面に人間の、世界の汚さ、醜さがまったく映らない。この映画には美しさしかない。美しさしかない映画にどんな価値があるというのか。
とみ

とみの感想・評価

4.0
凄いな

心地良かった
映画における説明ぽい事を全くしないので、物語を観ているというより、傍観者になった気分だった、その世界の
風に吹かれてた気分

それでも最小限での提示はあるし、最後にはそれぞれの役割とか物語が浮かび上がる
その提示がめちゃくちゃミニマムだから、マジでこういうの苦手な人だと、何の話かなんもわかんねえだろうな
水や虫、そして風の音が心にスーッと入ってくる優しい映画。開かれた扉と窓、そこに一歩踏み出して入ってくる人々。

見えないのに確かにそこに存在している。コロナ禍の撮影が作品に抜群に生きていて、閉塞感と喪失感を感じるのにすごく開かれていて愛おしくなる。素晴らしい。

杉田協士監督の『春原さんのうた』ですが、撮影は『偶然と想像』の飯岡幸子さん、照明を『花束みたいな恋をした』の秋山恵二郎さんが担当されています。2021年にこれらの映画が響いた人に届きますように…。

そしてなにより主演の荒木知佳さんがいいんですよ!ぜひぜひ。
忘れたくないんだろうけどそれにしては苦しい道を歩んでいるなと外から見ると感じるような
あの間合いなんか鼻につくように感じてきたのは余裕のなさの表れか
映画の"余白"の大切さを感じることができた。
淡々とした日常の中で見えない部分の痛みや哀しみ、内に秘める強さが時折垣間見えた気がした。
観る側に想像をたくさん巡らせることで作品の意味を持たせている、モダンアートのような作品に思えた。
美しい風景や小物遣いにセンスの良さを感じた。
大きな振り幅やストーリー性が無い分、正直少し退屈してしまったので、映像では映しきれない余白を楽しめるように日頃から内側を満たしていきたい。
湯舟

湯舟の感想・評価

4.0

このレビューはネタバレを含みます

大切な人を失っても変わらず過ぎていく時の中で生きていく沙知の姿に胸がじんとした。

生活に風を通して、湯を沸かしてお茶を飲み、仕事をして、淡々としながらもふとした時に思い出して手が止まる。
現実で同様のことが起きた時の立ち直り方や受け止め方、乗り越え方ってきっとこういう日々だよなと。
おじさんおばさんのお土産のどら焼きは春原さんの分だったのかな。
そういえば部屋の全体像が見えなくて、もしかしたら小さな仏壇があったりしたのかな。

沙知が電車で東直子さんのとりつくしまを読んでいてうれしくなった。
春原さんはとりつくしま係に何を望んだのだろう?

舞台挨拶の時、監督が「僕の映画に東直子さんの世界を入れたのではなく、東直子さんの世界に僕が入れてもらってできた映画」と話していた。
裏テーマの一首は感服。
パンフレット買うとより楽しめます。
余白が多くて、いろんな人と感想を話し合いたい映画です。
座り心地のいいソファで、もう一度観たいな。
oob

oobの感想・評価

3.9

このレビューはネタバレを含みます

何かの映画のレビューにも書いたけど、語らないことで語られることを描いた作品であると思う。触れない、触れ得ないことが重苦しくならないのは、開け放たれたアパートのドアや窓が風通しを良くしているから。

作中で撮る撮られるのシーンが印象的でそのシーンが何を意味しているのかそのとき自分には分からなかったが、キノコヤの2階窓に映写された映像は、映像が個人のものから大衆の移り変わっていくことを意味していたように感じる。

ドキュメントのようなシーンが一ヶ所あってその瞬間にグッとこちらの世界に引き戻されるような感覚があった。美術館のシーン
一首の短歌から、どれだけの物語を紡ぐのだ杉田監督は。なるほど、主演の荒木知佳さんが製作のきっかけと聴いて、細部にわたるエピソードの充実と、人物描写の変なリアリティに納得感があったし、そこに生きる(生きない)人たちの、意図的に映されない感情や生き様は、逆に残った。

作中で描かれる数々の出会いは偶然に行われ、誰しもが、その出会いを通じて何かを与え合っていく。映画においては当たり前に描かれる、そうした何かを与え合う偶然の出会いが自分には存在しないことに気づく。極めて淡々と、日常を切り取ったように見える世界が、自分の居ないパラレルな現実であった。

杉田監督作品は『ひとつの歌』も『ひかりの歌』も好きだが、どれも土地を意図的に見せて(本作では聖蹟桜ヶ丘や小竹向原や富士吉田など)、観客が、身近な現実に重ねて観られるようにしているからこそ、唐突な非日常に驚かされる。これが日本に住む人だけでなく、世界からも評価されるのは凄いこと。

過去作について調べてみたら、登場人物が『ひかりの歌』の雪子と幸子、『ひとつの歌』の剛(同じく金子岳憲さんが演じる)と妙子など重複する名前の人物が何人か居ることに気づいた。杉田監督の世界は続く。荒木さんや金子さん以外にも能島瑞穂さんや名児耶ゆりさん、深澤しほさんら小劇場俳優大活躍!

このレビューはネタバレを含みます

友達が買ってきた三つ目のケーキを出す出さないのくだりでようやく違和感を感じられた。私の映画リテラシーの乏しさよ。ましてやそれが同性のパートナーだなんて察せなかったなあ
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